キラキラ
第8章 バースト
「おかえり」
大野さんの柔らかい声に、はっと我に返ると、翔の家のリビングのど真ん中に、三人で座り込んでいた。
いつの間にか唇は離され、翔は、なにごともないような顔で、
「ただいま」
と、笑った。
そして、指をからませた手をさりげなくはずし、立ち上がりかけて、
土足じゃん…………
と、あわてて靴をぬいでる。
そんな翔を、俺は、惚けた顔で見つめていた。
柔らかい感触が、脳裏から離れない。
さしこまれた舌も、刺激的すぎて。
キスされたときにふわりと包まれた翔の香りや、つながれた手の温もりすらも、思い出せば、俺を動揺させるには充分だった。
まじかよ………
心臓がばくばくして、落ち着かない。
「…………無事に帰ってこれて良かった。相葉くん大丈夫か?」
大野さんが、雅紀に歩みより、頭をよしよしと撫でた。
はい…………ありがとうございました、と照れくさそうにいう雅紀。
ソファーに座って、こっちを見てるかずも、柔らかい表情だ。
「良かった、相葉くん。おかえり」
「かず…………」
雅紀は立ち上がり、ふらふらとかずに歩み寄ってかずの足元にぺたんとすわりこんだ。
「ありがとう…………ずーっと励ましてくれて。すげー力強かった」
「…………もっと早く呼んでくれたら良かったのに」
「呼び方わかんねーもん」
言いながら、ぐすぐす鼻をすする雅紀。
かずが、大野さんみたいに、よしよし、と頭を撫でる。
「本当に良かった」
「…………っ」
緊張してた糸がぷっつり切れたのか、雅紀はうつむいて、大粒の涙をこぼした。
「あーあー………相葉くん昨日から泣きっぱなしだね」
かずが面白そうに、つぶやき、雅紀のサラサラの髪の毛を何度もすいた。
雅紀は泣きながら、ウヘヘ…………と笑い、腕で何度も顔をこすった。
「潤?」
突然自分の目の前に現れたドングリ目。
「…………っ!」
「どした? どっか痛い?」
「い、いや…………なんでも…………」
慌てて、立ち上がる。
跳んだ直後だからか、くらっとよろめいた身体を、おっと、と翔が、ささえた。
「なんだよ…………大丈夫?」
「だっ…………大丈夫」
触れられた手にドキリとする。
瞬間
あ…………
「………ちょ…潤?」
ヤバイ
「おまえ、帰ってきたばっかだぞ」