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キラキラ

第8章 バースト

ふわりと、飛んで行く翔の背中を見る。

この人には、なんだかずっと、無駄にドキドキさせられてる気がする。

…………昨日あったばかりなのに。

でも、言葉をかわすたびに、手を握るたびに、もっともっと、この人を知りたいと思う自分がいる。

不思議だった。

今まで他人に無関心すぎたから、その反動だろうかとさえ思う。

ふわふわとした黒髪や、澄んだ大きな瞳。ちょっと冷たい長い指。

笑ったら、子供のような無邪気な笑顔になって。

そうかと思えば、冷徹な笑みを浮かべて悪さしたやつらを懲らしめたり。

本当何もかもが興味深いんだ。

自分を真っ正面から見てくれる初めての人だからだろうか。

もっともっと、いろんな顔が見たいと思う。

もっと、そばに……いたいと思う。


「…………腹へったなあ」

翔が、ぼやく声がきこえた。
そういえば、チカラを使いすぎたら腹が減って動けなくなるって言ってたっけ。

俺は、ふふっと笑って、声をかけた。

「帰ったらなんか作ってあげるよ」

「マジ?やった!」

俺、もう今日は動けねーよ…………と、翔は、嬉しそうに、言う。
正直、俺もクタクタで、すぐにでも横になりたかったけど。
でも、この顔を見たら…………無邪気な笑顔を見せられたら、な。


「キッチン借りるね」




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