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キラキラ

第1章 アーモンド


ーーーー50分後。

すっかり日も落ちて、真っ暗な空の下、マンションに到着。
駐車場に滑り込み、エンジンを切った。

「…………」

(結局、連れてきちまった……)


ハンドルに、上半身を預けて、隣を見る。


翔くんは、車が停車したことにも気がつかないくらい、熟睡してる。

すーすーと、聞こえる寝息。
子供のような寝顔。
いつもの、全く隙のない翔くんじゃなくで、本当の素の櫻井翔。

(……って、ガチ寝にも程があるだろ)

こんな寝顔をこんな密室でみせられたら、たまらない。

はあ……、とため息をひとつ。


(一晩……耐えなきゃな。)

(頑張れ、俺)

(平常心、平常心。)


気合いをいれて、小さく声をかけた。

「翔くん、着いたよ」

「……ん……」

ぽんぽんと、軽く膝をたたくと、翔くんの眉がしかめられて、ゆっくりと瞼が開く。
「……あ、…………ごめん、寝てた……」

「いいよ。疲れてたんだろ」

よく寝てたよ、と笑いかけてやると、翔くんは苦笑いして、うーん、とのびをした。

「うん……あれ、ここどこ?」

「俺んちのマンション」

「……は?」

「だって、翔くんゆすっても、何しても起きねえんだもん。道案内の途中だったのに」

「え……でも」

「いいよ、今日は泊まりな」

「でも……」

「ここまで来て何言ってんだよ。ほら、おりて」

戸惑ってる翔くんをおいて、先に運転席から出ると、あとから複雑な顔をした翔くんが、続いた。

「なんか……悪いな」

「いいよ、気にしないで」

「……ありがとな」

申し訳なさそうに笑う翔くんに、ドキリとする。

(…………やっぱりやめとけば良かったかな)

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