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キラキラ

第10章 100パーセント


「すっげー渋滞してた。焦った~❗」

テンション高く、喋りながら荷物を椅子におく様はいつもの静かなリーダーとは程遠い。
そのまま、コーヒーをいれにいく後ろ姿は、よくいえば元気。悪く言えばうるさい動き満載で。

「相葉ちゃん、録画してた番組みたよ~!」

「ほんと?」

「あれ、すげーな。あのゲストの子の腕の太さ半端ないな」 

「でしょ?女の子なのに、勝てなかったよ、俺」

わやわや、繰り広げられるリーダーと雅紀の会話。
いつもと同じ風景のはずなのに、何かが違う。

その場に突っ立ったまま、黙ってる俺に、リーダーが気づいた。

「松潤?どうした?」

コーヒーを飲みながらこちらに歩いてくる。

くるくるかわる表情。
それはまるで、雅紀を思いおこさせるような、天真爛漫さで。
違和感が、ぬぐえない。
こんなに喋るリーダーは、なかなかないぞ。

「……あ、なんでも」

俺の前で立ち止まったリーダーは、俺を見上げて、くんと鼻をならした。
そして、その綺麗な眉を少しひそめた。

「……………おまえ。酒くさいぞ」

げ。もうバレた。

「…………分かる?」

小さく聞き返すと、リーダーは、大袈裟に突っ込んできた。

「分かるわ!…………大丈夫かよ。頭痛とかは?」

「…………うん。大丈夫」

実際、だいぶ薬の効果はでてきてる。
でも、なんだか、別の意味でアタマが痛くなってきた気がする…………。

そこへ、

「はよー…………っす」

翔くんが入ってきた。

「あ、おはよ」

翔くんは、俺に気がつき、目でふっと笑った。


…………まさかね。
翔くんまで、おかしいなんてこと、ないよね?

念じる俺の目の前で、翔くんは、鞄からゲームを取りだし、ソファにどっかり座って、電源をいれた。

そのまま忙しく指を動かす姿をみて、俺は、眩暈がした。

…………一番、ゲームから縁遠い人が。

だいたい、マイゲーム機まで持ってるなんて聞いたことない。

「…………翔くん」

思わず声をかけた。

「んー?」

翔くんは、顔もあげないで返事をする。いつもなら、絶対目をみてくれるのに。

「ゲームなんて好きだっけ?」

翔くんは、怪訝そうにチラリと俺をみた。
そして、くすっと笑った。

「ヤキモチ?」

「は?」

「大丈夫だよ。おまえのこともちゃんとみてるよ」

…………違う違う!そうじゃない!

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