
キラキラ
第10章 100パーセント
そうじゃない、そんなこと聞いてるんじゃない、と思いつつ、翔くんからそんなセリフを言われると、とたんにドキドキして胸が苦しくなる。
だいたいそんなストレートな言葉、いまだかつて言ってくれたことなんかないし。
免疫ないんだって。
「違うよ…………」
俺は、ぼそぼそ答えた。
「ん?」
「ゲーム。翔くんそんなに好きだったっけ?」
「ああ。好きだよ?」
画面に目をむけながら、あっさり肯定された。
「…………そう」
俺は、混乱した頭で、近くの椅子をひいて座り込んだ。
ぼんやりと、楽屋内をもう一度見渡す。
あいかわらず難しい顔で、新聞を読むにの。
ほのぼのとした笑顔の雅紀と、元気はつらつなリーダー。そして…………ゲームに忙しい翔くん。
「…………」
……………………おかしいだろ!!
俺は、考えた。
分かった。これは、きっと全員でしめしあわせて、俺をからかってるんだ。
俺がおろおろしてるのを見て、あとで笑おうって魂胆だな。
そう考えると合点がいく。
分かったよ。
いーよ、そっちがその気なら、騙されてやるよ?
俺は、腹をきめて、コーヒーをいれた。
濃いブラックで頭を覚まそう。
どういう反応が、みんなの期待をいい意味で裏切れるかな?
俺は、それを考えることに集中した。
…………ところが。
収録が始まっても、この性格設定はかわらなかった。
何故かリーダーが仕切り、まわりで、突っ込みをいれる俺たちの画に、スタッフの誰からも疑問の声があがらない。
ついに、俺は、ドッキリを疑い始めた。
スタッフもみんなひっくるめて、のやつだ。きっと。
あとでネタバレされて、コメント要求されるはめになるかもしれない。
考えとかなくちゃ。
でも…それにしても。
みんなが自然すぎることが、気持ち悪い。
リーダーの仕切り方が、慣れていてこわい。
………ドッキリだしな。
こんなもんかな。
漠然とした不安感にあえて気がつかないフリをして。
俺は、普通に振る舞うことに集中する。
その思いが、根底から覆ったのは、とある新企画だった。
みんなで絵を描いてしりとりをしようという企画。
当然、絵の得手不得手な人の、違いに笑いが期待される企画だ。
それで。
翔くんが、それは見事なアニメのキャラクターを描いてみせたんだ。
……ありえないでしょ!!
