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キラキラ

第1章 アーモンド

「潤は、家で一人でも、自分で料理して食ってんの?」

なんだか、手持ち無沙汰で、キッチンに近寄ってみる。

「うーん……気が向いたら、かな。料理自体は嫌いじゃないけどさ。一人分だけ作るのって、面倒だったりするし……」

潤は、鍋にあれこれ放り込みながら、言う。

「ふーん……」

「翔くんは料理……は、しないか(笑)。

「しないな(笑)」

喋りながら、味見、と小皿をちょっと傾けて、潤は「完璧」と、親指をたててみせた。

それがなんだかやけに可愛く思えて、俺の胸が、またドキっとした



カウンターキッチンに、二人ならんで腰かける。

「いただきまーす……」

たくさんの野菜が入った、見るからに美味しそうなスープ。

「……うわ、なにこれ。うま」

一口食べて、思わず呟いた俺をみて、潤が嬉しそうに鍋をゆびさした。

「おかわりあるよ」

「見たことねぇ野菜入ってるし」

「見たことねぇ……って」

潤が肩をゆらして笑った。

ここ最近は、忙しいから、ずっと弁当か、ドリンクゼリーだった。
ちっとも美味しくないけど、食べなきゃ動けないから、と、食事は半ば義務感のようにとっていた。
今、目の前にあるスープは、差し入れされるどんな高級弁当なんかより、美味しくて、あたたかくて。

「……ひさびさに、うまいもの食った気がする」

「……」

そんな俺を、嬉しそう、なのか、苦しそう、なのか、判断がつきかねる目で、潤が、じいっと見つめていた。

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