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キラキラ

第10章 100パーセント

「泣くなよ…………」

翔くんが、俺の顔をのぞきこみ、親指で涙をぬぐう。
そして、ばつが悪そうな顔で、ごめん、と言った。


そんな風に謝られても。

違うんだ、翔くん。

確かにきっかけは翔くんの意地悪かもしんないけど、涙がでるのは、朝からいろいろな出来事がありすぎたから。
俺のキャパは、それほど大きくないんだ。

俺は、ずずっと鼻をすすり少し笑ってみせた。

「ううん。…………ごめん………泣いて」

翔くんは、苦笑いして俺の目元に優しく口づけた。

「…………いい男は、泣いてもいい男だな」

「…………うるさいな」

くすくす笑いあってたら、翔くんがこつんとおでこをくっつけてきた。

「おまえの可愛いおねだりが聞きたかっただけなんだ。いつも言ってくれるじゃん?」

…………へえ。

この翔くんが知ってる俺は、結構可愛い系なんだな。

…………でも。

おねだり??!

つか、言わせんなよ!!

なんだか、やたらとおかしくなってきた。
あははっと笑いだした俺に、翔くんは不思議そうな顔をした。

正反対だ。俺と。

俺が絶対言わなくて、絶対やらないことを、この翔くんが知ってる松本潤は、やるんだ。

…………あべこべの世界だ。ホント。

なんで、こうなってんのか分からないけど。

それとも、ああ、これは実は夢なのかもな。
目が覚めたら、もとの世界に戻ってたりして。
…………だったらいいんだけどな。


俺は、翔くんの頬をそっと両手で包んだ。
翔くんは、心地よさそうに目を細めた。

「…………ん?」

「…………ううん」


どんな、翔くんでも翔くんだ。

…………好きだよ。
この気持ちは変わらない。

俺様な翔くん。

可愛いおねだりなんか、口が裂けても言わないけど。
こんくらいなら、言ってやる。


「……………しろよ、続き」

翔くんは、目を見開いた。
そして、ニヤリと微笑んだ。

「…………いやに、挑戦的だな、今日のおまえ」

言って、すっかり力を失った俺に再び舌を這わせた。

「…………っ…………あ」

思わず、翔くんの肩をぎゅっとつかんだ。

ゆらゆら静かに揺れていた波が、また大きなうねりになって、俺を襲う。

ぴちゃぴちゃ音をたて、さっきより優しく愛撫してくれるのは、いいけど、かえって感じる……!

「ぅんっ……あっ…ん………」

声がとめれない。



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