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キラキラ

第10章 100パーセント

俺は、内心、舌を巻いた。

「…………」

呼吸を整えながら、翔くんを見つめ返す。
大きな瞳が、笑ってる。
至近距離の笑顔に、きゅんとした。

やっぱ翔くんには、いつもの俺じゃないって分かるんだな。

…………初々しいって。
そりゃそうだろ。
翔くんに口でされたの初めてだもん。  

「…………たまにはいいだろ」

ぶっきらぼうなのは精一杯の強がり。
翔くんは、笑って体をおこし、

「ベッド行こうか」

まるで、飯行こうか、とでも言うかのような軽い自然な誘いに、心臓が跳ねた。

「立てるか」

「う…………ん」

腕を引っ張られて起き上がる。
足元がふわふわする。

ゆっくり立ち上がり、ふと気づけば、翔くんは洒落た濃紺のパジャマをきちんと着てるのに、俺だけスエットの上だけで、下半身素っ裸という、変質者のような滑稽な格好をしてる。

これ、恥ずかしすぎるだろ!

「ちょ……ちょっと待って」

「ん?」

「………せめて下着だけはかせてよ」

「どうせ脱ぐのに?」

翔くんは、心底不思議そうな顔をした。

「いつもそんなこと言わねーのに。どしたんだよ」

「…突然気がついたんだよ」

俺は、歯切れ悪く返事をする。

「大丈夫だよ。誰も見てねえ」

「そーゆー問題じゃない」

「なんで?恥ずかしい?」

「……うん」

「んじゃ……」

言うが早いか翔くんの手が、パジャマのズボンにかかり、俺と同じ格好になった。

「これでいいだろ」

「…………」

この絵面……どうなんだ。
下半身露出した男が二人。

ダメだろ!
まだ全裸のがマシだ。


俺は、ぼそりと呟いた。

「…上も脱いでよ」

言いながら、俺は、着ていたスエットを勢いよく脱ぎ捨てた。

「じゃ…脱がせろよ」

翔くんは、ちょっと楽しそうに俺の前に立った。

「………いいよ」

俺は、ゆっくり翔くんのパジャマのボタンに、指をかけ、ひとつあけた。

翔くんの鎖骨が見えた。

ふたつ。

白い胸板が見えた。

「…………」

……やべ。ムラムラする。

みっつ。
よっつ。

じっと黙ってた翔くんは、俺がボタンをすべてあけると、自らパジャマを脱ぎ去った。
そして俺を乱暴に抱き寄せた。

「……ダメだ、ここで襲いてぇ」

耳元で囁かれる。


…ああ…俺どうしたんだろ。

今日は……この翔くんに抱かれたい。

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