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キラキラ

第10章 100パーセント

「ほら、1本入った」

翔くんが耳元で低く囁く。
痛み、というより、異物感がすごくて、なんかよくわからない。
目を瞑って、浅い息を繰り返す俺の額に、翔くんは、優しくキスをした。

「増やすよ」
「ぅあっ…………」

くちゅっと指を抜かれる。

「…………もう一度深呼吸して」 

二本の指が入ってくる。

「…………はっ……あ」

「力抜けって」

翔くんが苦笑して、頬にキスしてくれる。

これ…………苦しい。マジ苦しい。
痛いし。
異物感が、気持ち悪いし。

「潤」

「?」

「泣くな」

「…………泣いてない」

「だって泣きそうだぞ」

「泣いてない」

「これも演技?」

「…………そう」

「すげーな、おまえ。アカデミー賞もんだぞ」

楽しそうに笑って、翔くんは、指を一気にいれてきた。

「ぅあっ!!」

顎がのけぞった。

S翔降臨だ。
マジ痛いって!!

「はあ…………っあ…………」

涙が溢れる。

「潤」  
 
「…………………なに」

「演技だよな」  

「…………そうだよ」

「涙も?」

「うん」 

「……………うそつけ」

翔くんは、静かに指を抜き、体をおこした。
そして、そのまま俺の横に体をよこたえ肩肘をついて、俺をのぞきこむように見た。
俺は、そんな翔くんを見上げることができず、反対側に顔を背ける。
ぎゅうっとシーツをにぎりしめてる手に、翔くんが、そっと自分の手を重ねてきた。

「なあ………潤。俺になんか隠してないか」

「…………」

「なにか、いいたいことあったら聞いてやるよ?」

「…………」

「潤」 


心が、揺れる。

穏やかな優しいトーンの翔くんの声に、ますます泣きたくなって困った。

俺、やっぱ今日は、変だ。
甘えたい。
とにかく、甘えたい。

揺れる瞳で、翔くんの顔を見る。
翔くんは、優しく笑んで、…………ん?と促した。
俺は、気がついたら口が動いてた。

「じゃあ…………信じてくれる?」

「何を?」

「今から俺がいうこと」

「おお」

「本当だね?」

「ああ…………信じる」

じゃあ、言うけど、と、俺は、朝からの出来事を全て話した。
自分が知ってるメンバーじゃないこと、自分が知ってる翔くんじゃないこと。
いつもは、俺が翔くんを抱いてることまで、言った。

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