テキストサイズ

キラキラ

第10章 100パーセント

「…………で?そっちが知ってる俺は、おまえに抱かれちゃってんの?」

「…………うん」

「…………想像できねえ!」

本当に信じられないって顔をするのがおかしくて、俺は、思わずお腹を抱えて笑った。
翔くんも、はははってわらってゴロリと仰向けになった。

二人で天井を見上げて、ひとしきり笑ってから、
俺は、繋いでる翔くんの手のひらをぎゅっと握った。
翔くんは、ん?と、こちらを見る。
俺は、にっこり笑って言う。

「……俺が知ってる翔くんはね。すごい恥ずかしがりやで照れ屋なんだ。好き、の一言を引き出すのも大変でさ」

「へえ…………」

「ちなみにゲームは、ほとんどしないよ。いつでも新聞か、本を読んでる。すっげー勉強家」

「げ………俺には無理だ」

目の前の翔くんは無理無理、と手をひらひらさせた。
こっちのあなたは、ゲーマーだもんね。

「エッチはね…………照れ屋なくせに強気」

「なんだ、それ」

俺は、腕のなかで真っ赤になって俯く翔くんを思い出す。

真っ赤なくせに、うるせえ、とか怒鳴るんだよね。

「そこがいいんだ。可愛くて」

「………ははっ…なんかそう言われると変な感じだな」

翔くんがあいてる手をあげて、俺の髪を優しく撫でてくれる。

そう…変な感じだ。

翔くんじゃないけど、翔くん。
翔くんだけど、翔くんじゃない。

わけわかんないな。

しばらくお互いに黙ってた。

自分の恋人が恋人であって、恋人じゃない。
浮気してるわけじゃないけど。
変な感じだ。

「なあ…………」

翔くんがぽつりと聞いた。

「悪いが、俺は、お前に抱かれるのは、無理だ。でも、この続きも、お前が嫌ならもう止める」

「え…」

「受け入れるの初めてだろ?辛いと思うぞ」

「……」

翔くんの優しさ。
どんな翔くんもやっぱりとても優しくて、俺を大事にしてくれる。
それはすごく嬉しいことだ。

……でも。

「…そうだ。もう一回風呂入るか?一緒に」

翔くんの明るい声に、俺は、小さく首をふりうつむいた。

「……抱いてよ」

「え?」

小さく呟く。

「俺、翔くんと繋がりたい。…………怖いけど、抱かれてみたい」

「…潤」

「でも、…ゆっくりね」

「………っ…おまえ、可愛いこと言ってんなよ」

翔くんが、ポカリと叩いてきた。
そして低く笑った。

「…………優しくするよ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ