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キラキラ

第10章 100パーセント

身につけている、緑のひらひらの衣装と羽のついた帽子は、あたかもピーターパンのよう。

短いサラサラの髪の毛は明るい金髪。
仔犬のような、黒目がちの優しい瞳に、いたずらっぽい笑みをうかべて、俺の前に、ちょんと座ってるこの男。

ビジュアルだけだと、完全に雅紀なんだけど。
よくよくみると、ところどころの、細かいパーツや雰囲気に違和感があるから、かろうじて別人なんだな、ということが分かる。

「どうだった?」

ふいに、にこりとして問われる。

「どうって……………」

「楽しかった?あべこべの世界」

は?!

「……………おまえの仕業か!」

「仕業って……………人聞き悪いな。せっかくプレゼントしたのに」

悪びれもせず、にこにことして、雅紀によく似たそいつは、ペロッと舌をだした。

「………そんなもん、頼んだ覚えない」

「そんなこという?ラッキーだったっしょ?バレンタイン特別企画だよ!」

「あ?」 

実に無邪気に、説明してくれるが、…………意味わかんねー。
バレンタイン企画って。

なんの企画だっつの。目的はなんだよ??
だいたい、お前は誰だよ?!



俺は、はあ……とためいきをついて、にこにこしている雅紀似のそいつをじとっと睨んだ。


あべこべの世界…な。まあ……確かに。
何もかもあべこべだった。
絵が上手くて、料理上手な翔くんなんて、激レアキャラ以外のなにものでもない。

………それに…異常に格好よかったし。

思い出すと胸がドキドキしてきそうで、俺は、ふるっと頭をふり、髪を両手でかきあげた。


「……………なんだったんだ、あれ」

ため息混じりに問えば、のほほんとした口調で、彼は答える。

「パラレルワールドって知ってる?」

「…………現実と平行して、よく似た世界が存在するって……………あれか?」

「うん。それ」



雑な説明だな、おい。



「今回はね、緑を大事にしてくれてる人をピックアップして、バレンタイン当日限定一日で、ご招待する企画だったんだよ」

「緑……………」

「あなた盆栽してるでしょ?」

ああ…………まあね。

「俺は、この世界の緑を司る立場にいるからさ。ちょっと贔屓しちゃった」

いや、別に選ばれなくても全然かまわなかったけど。

「司る?」

「世界から、緑がなくならいようにしてる管理人みたいなものだよ」



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