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キラキラ

第10章 100パーセント

はいはい。もはや、何を言われても驚かねーぞ。
おい、その管理人とやら。

「…………俺、もとの世界に帰れるのかよ?」

「うん。だからここにいるんだよ。ここで、もっかい目を瞑って、起きたら元通りになってるよ」

時間軸はもどせないから、最後に過ごした場所からスタートだけどね、と、にこにこして言われる。

良かった………。心底良かった。

ほっとして、笑みがこぼれた。
格好いい翔くんが見れなくなるのは、ちょっと、もったいないけど、……………やっぱいつもの翔くんに会いたい。

「さ、じゃあ、俺、今からもう一人迎えに行かなきゃなんないから、さっさと寝て?」

管理人は、下手なウインクをして、俺の肩をおした。
俺は、横たわりながら、「もう一人?」と問う。
管理人はフフっと笑った。

「うん。あなたともう一人招待したんだ」

へえ…………もう一人、俺みたいな被害者がいるのか??
気の毒に……………。

「あなたのお友達じゃないかな。俺にさ、そっくりなやついない?」

「…………」

「そいつ、緑がイメージカラーでしょ?だから、そいつをさ、緑をさ、大事にしてるやつを選んだの」


「…………」

「色白でー。気が強そうだけど、笑うと可愛くてー。 顔似てると、好みも似るのかな?俺、超好みだったから、即決」

「…………」

戸惑ってる一人の男が頭に浮かぶ。
気の毒にな…………大丈夫かな、あいつ。
意外にメンタル弱いとこあるから。

「…………参考までに聞くけど。そいつもあべこべの世界?」

「ううん…………えっとね、確か」


管理人は、どこからか手帳を出してきて。パラパラとめくる。

「大好きな人が、自分のことを忘れちゃった!初恋の甘い記憶よ、もう一度!の世界」

……………どういう世界だ。
ってか、……………なんて、恐ろしいとこだ。
これを、何も聞かされないまま、放りこまれてるんだろ?
………ありえない。

「途中ちょっと、のぞいたら、彼、すっげー泣いてたんだよね」

そら、泣くわ!

「可愛かったなあ」

…………こいつ、本物のサディストだ…………。

「………早く、迎えに行ってやってくれ」

ネタばらしされたあとの、にのの反応が恐ろしいぞ。こいつ、殺されなきゃいいけど。

「ん。じゃね、潤くん。お疲れさま」

管理人が、パチンと指をならした。
俺は、ふっと意識がとんだ。

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