キラキラ
第10章 100パーセント
腕の中のぬくもりと、鼻先をかすめるふわふわした髪の毛の感覚に、ゆっくりと目を開けた。
「…………」
勝手知ったる翔くんの部屋。
柔らかい翔くんのダブルベッド。
…………安心する翔くんの匂い。
腕の中に目をやれば、少しうつむき加減で俺の肩に頭をすりよせて眠る翔くんがいる。
昨日の晩、してしまったまま寝たのか、二人とも裸のままだ。
翔くんの白い肩を抱き寄せた。
……………戻った………のかな?
小さな置時計に目を走らせれば、針は六時半をさしている。
今日は、9時入りだから、そろそろ起きないといけない。
そっと額に口づけてみる。
綺麗な眉が少しうるさそうに動いた。
翔くんのこの反応が可愛くて、俺は大好き。
たいがい、朝が弱い俺より、翔くんが早く起きちゃうから、めったにお目にかかれないんだけど…………。
もう一度軽く額にチュッとしたあと、少しあいた翔くんの唇に、自分のそれを重ねた。
ぴくりと、眉根をよせてから、翔くんの大きな瞳がうっすらと開いたのを確認して、俺は、唇を離し囁く。
「…………おはよ、翔くん」
「…………ん、おはよう………」
寝起き特有のかすれた声と、ぼうっとした顔が、超絶に可愛い。
我慢できなくて、もう一度キスする。
「ん…ん…………」
色っぽい声に、調子にのって舌を差し込んだら、両手で押し戻された。
「ふあ…っ…………なに、朝っぱらからコーフンしてんだっ」
首をふって俺の唇をかわし、翔くんは、笑って抗議してきた。
……………これ、これ。
この反応!!
「翔くん……………!!」
思わず、ぎゅうぎゅう抱きしめたら、翔くんは、苦しい、と呟きつつ、俺の微妙な変化に気づいたのか、黙ってされるがままになってくれた。
「潤…………?」
「ん……………?」
「…………なんで泣いてんの?」
翔くんが静かに問う。
「ん……………?」
涙があふれてきて、しょうがない。
大好きな翔くんに、やっと会えた。
もう二度と会えないかとさえ思ってた。
嬉しくて。嬉しくて。
ホッとしたのもあり、俺は、情けないと思いながら、翔くんの肩に顔を埋めて、しばらく泣いた。
……………俺、昨日から何回泣いてんだろ。
「なんだよ…………どうした?」
翔くんが、とまどいながら、優しくぽんぽんと背中をあやすように叩いてくれる。