キラキラ
第1章 アーモンド
何やら話をしてる翔くんを横目に、俺は冷蔵庫からミネラルウォーターを出し、カウンターにおいて、その場から逃げるようにバスルームに向かった。
バスタブにつかって、天井をあおいだ。
(ふー……)
危なかった……
携帯鳴らなかったら、絶対抱きしめてた。
もう、自分の自制心に全く自信がなくなってきた。
(色っぽすぎて……ヤバイ)
メンバーの風呂上がりなんか、今まで星の数ほど見てきてるはず。
なのに、今日はいろんなことが起こりすぎて、翔くんに不思議なフィルターがかかってる。
翔くんがなにをしてても、翔くんの目がなにを見てても、可愛くみえて、色っぽくみえて。
好きすぎて、気持ちが溢れでてきそうで……苦しい。
櫻井翔という人間に、こんなにも振り回されてるなんて。
(俺らしくないな……)
それとも、俺らしい、のかな。
こんなに人を好きになったのは初めてだった。
「あっち~」
タオルを首にかけて、自分も水を一本だし、一気に半分くらいまであおった。
「智くんだった」
「ん?」
ソファーでテレビを見てた翔くんが、こちらを振り返って、やっぱり、というように肩をすくめた。
「電話。体、大丈夫かって」
「ああ……やっぱ、バレてた?」
「バレてた」
「嘘はつけねえな、リーダーには」
「……うん」
「で?いまは?大丈夫なの?」
考えてみれば、ついさっきまで、死にそうな顔をしてた人だ。
「大丈夫だよ。潤のおかげで、今は超ラク」
「そっか……」
良かった、と低く呟く。