
キラキラ
第12章 ほたる ~バースト2~
週が明けて月曜日。
朝からいい天気だ。
俺は、また翔にお願いして、弁当をつくってもらった。
「公園ランチ、そんなに好きなの?」
オニギリを弁当箱につめながら、翔が不思議そうに聞く。
俺は、腕時計をはめながら、にこりと笑って答えてやった。
「社食より、お前がつくる握り飯の方が美味いんだよ」
「…………そーゆー台詞は、彼女に使う言葉だよ(笑)」
ツッコミをいれながら、翔は、満更でもない顔をして「はい」と弁当箱とほうじ茶の入った水筒が入った小さな鞄を差し出してくれる。
ありがとう、と受け取り、俺は、足早に玄関に向かった。
……………今日もあの公園にいる気がする。
俺の勘はあたるんだ。
(……………いた)
昼休み。
こないだ俺が座った日当たりのいいベンチの2つ向こうに、彼はいた。
今日は、あたたかいからか、スヌードははずし、ジャンパーも脱いで、白シャツ姿。
ただ、その体を怠そうにベンチに横たえていた。黒いリュックを枕にして、横向きになって。
その瞳は開いてるのか開いてないのか、分からない。
あまり、じーっと見るのもおかしいので、俺は、こないだと同じベンチに平然と座り、素知らぬ顔でオニギリを食べた。
前方の噴水をみつめながら、感覚を隣に研ぎ澄ます。
彼は、一度も体を動かすこともなく、死んだように横たわっていた。
調子が悪いんだろうか。
早く家に帰って、きちんと休めよ。
そんなことを思いながら、短い休憩時間を終え、俺は、会社に戻った。
退社後、俺は、もう一度公園に向かった。
昼間の彼の様子が少し気になった。
いなけりゃいないでいい。
俺は、翔と二人暮らしなのを理由に、なるべく残業しないように仕事を調整している。
退社時刻は早い方だから、時刻はまだ五時半をまわったところだ。
春の夕空はまだ明るい。
公園に足を踏み入れ、ちょっと奥まった場所にゆっくり足を運んだ。
………まだ、いる。
彼は、昼間の場所で横たわっていた。
肌寒くなったのか、ジャンパーを布団のように体にかけて。
どうしましたか?
大丈夫ですか?
かける言葉を考えながら、そっと近づく。
黙って去ることは考えていなかった。
「……?」
そうして、気づく。
彼が苦しそうな息を繰り返してることに。
