テキストサイズ

キラキラ

第12章 ほたる ~バースト2~

********************************************

kazu



だって、絶対大丈夫だと思ったんだ。

犯罪者の匂いはしなかったもん。



行く当てもなく、疲れきって路上に座り込んでた俺に、話しかけてきた人の良さそうなニコニコ顔の兄ちゃん。

「寒いだろ。うちおいで」

下心ありありだったのは分かった。
俺を、可愛いな、なんて気持ち悪いこと考えてるのが聴こえた。
でも、それほど面倒なことにはならないだろうと、軽く考えてた。

俺に、興味をもってんなら、まあ、せっくすの1回くらい許しちゃってもいっか。
1回我慢したら、暖かい場所で眠れるよね。

そんな、短絡的なことを考えてしまうほど。
それほどまでに、冷えきり、疲れきってた。
普段なら、絶対やらない判断ミスだった。


……兄ちゃんの嗜好までは、読みきれなかったんだ。




もう許して……

さるぐつわをかまされてるから、声にならない。
いや、もう声すらでなかった。
かすかす乾いたのどは、ヒューヒューというだけ。
泣いて嫌がってすがっても、兄ちゃんは、一切やめなかった。
俺は縛られ、身体中を舐めまわされ、喘がされイかされ、つっこまれ、ありとあらゆる屈辱をうけた。
一晩中、それが続いた。
地獄だった。
明け方、もう何度目か分からないとばしてた意識が戻ったとき、兄ちゃんが素っ裸で、隣で眠っているのが分かった。


「…!」


それからどうやって逃げたのか分からない。

必死だった。

ほどけかけた手の戒めを震えながらはずし、散らばった服をかき集め、たたない足腰を無理矢理動かして、部屋をでた。

よろよろ歩き続けて、公園に転がり込み、何日か前に噴水を眺めた場所にたどりついた。


そこからぱったり意識がない。


途中、柔らかい声に話しかけられた気もするが……。


ゲホッ

自分の咳で目が覚めた。

突然クリアになる意識。


「お。起きた」

聞いたことのない声が耳に届く。

…………だれ?と思った瞬間。

「…………うっ」

急激におそう嘔吐感。

身をよじり、身体をおこそうとしたら、素早く温かい手が俺にそえられ、傍らにあったごみ箱を差し出された。

激しく身体を震わせて、全部を吐き出そうとしてる俺を、誰だか分からない手が、ずっと背中をさすり続けてくれるのが分かった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ