キラキラ
第1章 アーモンド
ギシ……と、音をたて、静かにベッドに腰かけてみる。
ほの暗い照明のなか浮かび上がるのは、完全な潤のプライベートの世界だった。
床におかれたライトや、観葉植物には、潤の好みが透けてみえる。
ベッドサイドにはファッション雑誌にまじって、演技論だとか、役者論だとか、難しい本をはじめ、車や、時計のカタログだの、さまざまな種類の本がきちんと並べられていた。
(へぇ……几帳面)
頭もとでは、小さな加湿器が静かに作動してる。
アロマオイルでも混ざっているのか、いい匂いがした。
ポスッと枕に顔をうずめると、潤の香り。
シャンプーもボディーソープも、今着てる部屋着も、全部潤の香り。
(俺、匂いフェチかな…)
苦笑して、静かに深呼吸する。
俺の中では、潤の香りは、いつしか安心できる香りにかわっていた。
潤の香りに包まれて、しばらく、そうしてるうちに、急速に、意識が遠のいていった。
「ん……」
喉の乾きを覚えて、目が覚める。
サイドボードにおかれた電子時計は、深夜一時半をさしていた。
早くに寝たからか、割合頭がすっきりしている。
体も楽になっていた。
(なんか、飲も……)
立ち上がって、音がしないように静かに部屋をでて、リビングに続く扉をそっとあけた。