キラキラ
第1章 アーモンド
リビングの照明は薄暗く、テレビの光だけが異様に光ってみえた。
(潤、あいつまだ起きてんのかな)
近寄ってみると、画面はちょうど、洋画らしきエンドロールが流れてるところだった。
潤は、というと。
(……寝てるし)
ソファーに座ったまま、首をちょっとかしげてすやすや眠ってる。
テーブルの上には、空になったビール缶が3本。
(ちょっと、飲み過ぎじゃね?)
俺は、潤の正面にまわって顔をのぞきこんだ。
厚めの唇を少し開いて、子供みたいに寝てる。
昔からちっともかわらない、無邪気な寝顔だ。
起きてると、その派手な顔立ちのせいで、どうしたってクールな王子様の立ち位置を要求されるけど、俺は知ってるよ。
本当は、甘えたがりで、寂しがりやなんだよな。
(なんか、かけるもん持ってきてやろう……)
寝室にタオルケットの予備とかあったかな?と、記憶をめぐらせて、その場を離れようとしたら、
「……ん……しようくん……」
名前をよばれて足をとめた。
「あ、ごめん、起こした?……ぅわっ」
すごい力で腕を引っ張られて。
次の瞬間には、潤の胸のなかに転がり込んでた。
「な、な、な」
「しょーくん……」
何すんだ、と慌てて顔を見上げると。
トロンと薄く開いた目。
(……あ、焦点あってねぇ。)
「じゅ……」
傾いてきた顔に、あ、と思ったときには、唇を塞がれてた。