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キラキラ

第12章 ほたる ~バースト2~

涙をポロポロ流してこちらを見上げるかずの肩に手をさしこみ、ゆっくり起こすと、かずは、俺にしがみついてきた。

「………ふ…………ぇっ…………」

「…………大丈夫。もう大丈夫だ」

しゃくりあげて泣くかずの背中をさすりながら、低く囁いた。

はだけたシャツはボタンがはずれ、ベルトも半分はずされかけていたが、間に合ったようだ。
震える背中を抱きながら安堵のため息をつく。

着ていたカーディガンを脱ぎ、かずの小さな肩にかけた。

さっさとこんなとこ出なければ。

「立てるか」

腕を持って支えてやると、こくりと頷いたかずはよろめきながらベッドから立ち上がる。
床に転がってたかずのリュックは翔が拾った。


荷物がたくさん散らばってる床を歩き始めたら、リビングで倒れてた男が、「…………待てよ」とうめきながら立ちはだかった。

「………てめーら…不法侵入だ。警察呼ぶぞ」


「…………何いってんだ、おまえ」


俺は、抱えてたかずの肩を、傍らの翔にあずけ、二人を守るように、すっと前に立つ。


「強姦って、立派な犯罪なの知らねえのか」

自分でも、驚くほど低い声が出た。

すると男は、にやりといやらしく笑った。

「強姦じゃねぇ。同意だ」


「な、わけねーだろーがっ!」


怒鳴った。


その時、後ろの空気が熱く燃え上がった気がして
思わず振り向いた。

翔が、目を細め、冷たい表情をしてる。
漆黒の髪が、ふわりとゆらめく。 

「…………翔?」

空気がパシッと鳴った。

同時に、男は悲鳴のような絶叫をあげ、その場に崩れ落ちた。

翔が、ふっと吐息をもらした。


「…………」


…………やったな。

あまり、度を超すようなチカラの使い方はしてほしくないのが、本音だけど、まあ、しょうがない。

転げ回って痛がる男に目をやる。

「…………今後一切この子に手をだすんじゃねぇぞ」

低く言い切り、翔とかずを促して、外に出た。


階段を降りながら、何をした?と目で問いかければ、翔は、悪い顔で言い捨てた。


「折った」

「…………足?」

「うん、両足」

「…………こえーな(笑)」

そんな、俺たちの会話を、不安そうに見上げるかず。
俺は、気がついて、ぐっと細い肩を抱き寄せて安心させるように笑ってみせた。

「…………もう大丈夫だから、な?」

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