
キラキラ
第12章 ほたる ~バースト2~
翔が、アパートの周りの砂利道ををぐるりと歩き、大通りの方角を確かめ、考えるように俺を振り向いた。
俺の腕の中におさまるかずを見て、あまり歩かせられないと判断したのか、どうする?と首をかしげてきた。
「…………タクシーつかまえてこようか?」
…………いや。
俺は、かずに目をやり、しばらく考えた。
じっと見つめてると、かずは、戸惑うような視線を送り返してくる。
なあ、かず?
…………あくまで俺の直感だ。
俺の声が聞こえたら…………、右手をあげてみてくれないか。
心で。
呼び掛けた。
そのままじっとかずを見つめる。
「…………智兄?」
黙って見つめあってる俺たちを不審に思った翔が、怪訝な顔で声をかけてくる。
悪いな、と思いながら俺は、かずから視線を外さなかった。
俺を、見上げ、何か言いたげにしてるかずは、半分あいた薄い唇をきゅっと噛んだ。
潤んだ茶色の瞳が、ゆらゆらゆらめいている。
ピクリと動いた右手。
かずの右手が静かに頬の横にあげられた。
「……………っ」
自分の直感を肯定された瞬間。
思わず驚愕のため息をついてしまった。
やっぱり。
俺は、にこりと笑いかけてやった。
かずも、照れくさそうにふわっと笑った。
能力者だ。この子。
「なに?なに?なんだよ?」
話がみえない翔が、待ちきれなくて、ちょっと拗ねたように絡んできた。
俺は、どうにもおかしくなって、はははっと笑って、翔の髪の毛をクシャクシャとした。
やめろよ、なんだよ、と翔が大騒ぎしてる。
…………俺らも能力者だよ。
ちらりとかずを見た。
かずの目が丸くなった。
「翔…………空から帰ろう?」
