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キラキラ

第12章 ほたる ~バースト2~

入口で、俺らのやりとりを見ていた翔が、半分深刻、半分苦笑いの、なんともいえない顔をした。

「なんかさ………もしかして…………」

翔は呟き、おもむろに手をのばし、かずの手首をつかんで、強引に部屋にひっぱりこんだ。
そして、そのままぎゅっと抱き寄せた。

かずの華奢な体が、翔の胸にすっぽりおさまった。


「…………あっ…………ん」


同時に、かずが甘い声をあげて、俺は、ドキッとする。

かずは、かあっと真っ赤になってうつむいた。
 
翔は低く笑って身体を離した。
そして、はあっとため息をついて、やっぱりな、と言い、うつむいてるかずの顔をそっとのぞきこんだ。


「………あいつになんか飲まされた?」



かずは、こくこくと頷き、蚊の鳴くような小さい声で答えた。



「熱が…………さがるか…らって…………無理矢理」

「ふうん…………」


翔は、肩をすくめて俺をみた。


「盛られてるな」


「…………何を?」


「気持ちよくなるクスリ」


「…………は?」


とぼけた答えしかできない俺だ。
だって、そんなもん本当にあるのかよ?!

あいつ両腕も折っとけばよかった、と翔は悔しがってる。


「知ってる?智兄。このテのクスリ、マジでヤバイんだよ?」


「…………なんで、知ってんだよ」


「俺はしてないよ。ダチの兄貴の話ね?」


翔はおおげさにてをふってみせた。

かずは、その間もはあ、はあ、と息をつきながら身を縮こまらせてる。


出したくて、出したくて…………ってやつか。


翔は、脱ぎ捨てた上着をもう一回着て、スマホと財布を手にとり、にやりと笑って、俺をふりかえった。

「…………智兄、あとはまかせた」

「え」


「だって。智兄、男、経験あるだろ?」

俺、女の子専門だし、と涼しい顔して、翔はとんでもないことをいう。



一瞬、ポカンとしてしまった。


…………は?

……………はあっ??


真っ赤な顔をしているであろう俺を見て、翔はくすくす笑った。

「大学ん時の松岡さん。まだ続いてんの?」


「…………いや、ちょっと待て」



待て…………待て待て。

なんで、知ってんだよ!



「経験くらいあるよね?」


そりゃ、まあ…………。

でも。


「………俺、タチじゃねーもん……」


「そんな情報いらねえし!(笑)」


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