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キラキラ

第12章 ほたる ~バースト2~

翔が、ちょっと赤くなって怒鳴った。


…………なんだよ。話をぶっこんだのそっちだろ………


俺も妙に恥ずかしくなって、目をそらせた。
だって、今のは、俺、抱かれてますってカミングアウトしてるみたいだもんなあ…………。

に、しても、だ。

慎重に動いてたはずなのに、なんでバレてんだろ??


俺は、冷蔵庫からペットボトルを出している翔の後ろ姿を、じとっと見ながら考えた。


大学の同じゼミだった松岡先輩から告白されたのが、あの人の卒業時。

それから、翔が、指摘するような関係になるのに時間はあまりかからなかった。

なぜかというと、松岡先輩のアプローチが半端なくすごかったから。

結局、男だから、とかではなく、俺だから惚れた、という言葉に…………俺は、おちたんだ。

今は、週1から、10日に一回くらいの間隔で、飲みに行ったり、出かけたりしている。


…………肌も時々。あわせてる。




「じゃ、俺、適当に時間つぶしてくるから」

振り返り、すました顔で言い残す翔に、我に返る。すたすた廊下を歩いていく翔の後ろ姿をあわてて追いかける。


「えっ…………ちょっとマジで?!」


「二時間後にね」


ひらひらっと手を振った翔は、さわやかな笑顔とともに、パタン…とドアを閉めた。


「…………」


マジか。


玄関に取り残される俺。

しーんとした空気が重い。




…………さて。どうしたものか。




思案しながら、ぺたぺたと廊下を歩き、リビングにもどれば…………かずが、倒れてた。


「おい!かず?!」


慌てて駆け寄る。
 

だんごむしのように丸くなり身体を抱えるようにして、かずは目を閉じていた。
その華奢な肩は大きくゆれている。
はっ…………はっ…………と吐息をもらし、微かにふるっと腰が動いてる。


「…………かず」


呼びかけると、潤んだ瞳がこちらを見上げた。
薄く開いた口から、苦しげな声。


「………じぶんで……処理す…るから…………お…………のさんも、出かけて……?……」


「…………」


「お願い…………」


涙声で、言われても。


自分で処理ね…………。
自力で立てないくせに、自力でからだが動かせないくせに、どうするんだよ?

懇願されたところで、このまま、はいそうですか、とほっておくことは……できねぇな。






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