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キラキラ

第12章 ほたる ~バースト2~

「…………あっ……ああっ」

腕の中で、小さく肩をまるめてシーツを握りしめて喘いでいるかずが、可愛くてたまらない。
抜くのを手伝ってるだけのはずなのに、そんな不思議な状況が、俺を、勘違いさせそうだ。

かずの細い腰が、動く。




「おおの………さん………もっ…………でるっ」


「いいよ」


かずの懇願を合図に、激しく指を動かした。


「んっ…あ…………んっ」


かずは、首をふり、一際高い声をあげて、果てた。
ドクドクと吐き出し、苦しそうに何度も深呼吸している。

やがて、肩を震わせてうつむき、俺の手に自分の手を重ねてぎゅっと握ってきた。
涙声で、ふりしぼるように呟く。


「…………ごめん………なさい…………っ………」


「泣くことない」


謝ることもない。

悪いのはあいつ。

手にかかる飛沫を、シーツでぬぐって、ぎゅっともう一度抱き寄せた。


「どうだ? 落ち着いたか?」


囁いてやると、かずは、びくっと身体を震わせた。


「…………まだ」


…………まだか。


じゃあ、もう一回…………と、指を動かしかけたら、かずは顔をあげて、肩越しにこちらを振り返った。
その潤んだ瞳が、あきらかに物欲しそうで、俺は、こくりと息を飲んだ。
涙がういた色づいた目元や、頬。汗にまみれた額。
半分あいた唇から、目が離せなくて。

かずが、身をよじって、こちらに身体をむけた。
かずの顎が自然とあがった。


「…………」


吸い寄せられるようにその乾いた唇に、自分のそれを重ねた。


薄い唇。


はさむように、ついばんでやると、


「…………んっ…………」


かずの甘い声に我に返る。


「あっ…………ごめん!!」


慌てて顔を離した。
かずは、ゆっくりとそんな俺を見上げた。




   …………お願い。


   今日だけでいいから。


   抱いて。



頭に直接響く声。

目を見開くと、かずは、はあ…………と吐息をつき、俺にしがみついてきた。


    お願い。


「…………俺、恋人がいるんだ」


無意識に返事をしていた。


震えながらしがみついてるかずの手がゆるんだ。


    …………知ってる


「……だから。抱いてやってもいいけど。…………俺に惚れんなよ?」


    分かってる


かずが、少し笑って俺を見上げた。

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