
キラキラ
第12章 ほたる ~バースト2~
優しい記憶だった。
温もりの感じられる幼少期。
お母さんだろうか。包容力のある言葉が聞こえる。
かずが安心してるのが伝わる。
心が温かい。
だが、それも束の間だった。
穏やかな心で、記憶を共有するうちに、どういうわけだか次第に緊張感が増してきた。
級友との出来事。
そして、投げられた言葉。
むけられた冷ややかな視線。
とまどい。傷つく心。
うってかわって、負のイメージが心をおおいつくしてゆく。
言葉が刃となって、深くつき刺さり、見えない血が流れる。
かずの心が次第に閉ざされてゆく。
そして、凍りつかせる事実。
思いもしなかった母親からの拒絶の言葉。
それにより家をでようと決意した流れまで。
まるで、コマ送りの映画を見てるように、イメージが伝わってきた。
そしてそれらは決して…………愉快なものではなかった。
この細い体で一人で必死に立ち向かってた毎日が、崩れ落ちた瞬間。
かずの隣には誰がいたのだろう?
喘ぎながら、何度も俺を求めるかずを見てると、胸がはりさけそうになってきた。
能力が安定してない時期、それなりのことが俺らにもあった。
でも、俺には翔がいた。
翔には俺がいた。
一人では、なかった。
「おおのさん…………また…………イくっ……」
「ああ………………イけよ」
もう何度目かの絶頂。
「ああっ!!」
出すものも僅かになってきたかずは、掠れた高い声をあげ、それを最後に意識を飛ばした。
ぐったりするかずから、ずるりと自身を出し、俺も静かに吐精した。
やるせなかった。
かずが出したもので、お互いベタベタな体。
湯で絞ったタオルで、白いかずの肌をふきながら、俺は、なんともいえない気持ちだった。
能力なんて…………あっても、本当にいいことないよな。
涙がにじんだ瞳を閉じて、深い眠りに入ったかずの髪を優しく撫でる。
柔らかい黒い髪。
幼さの残る顔。
「…………」
唇をかんで。
…………俺は、あることを決めた。
それから、3日間。かずは、高い熱をだした。
