テキストサイズ

キラキラ

第12章 ほたる ~バースト2~

「あのさ、かず」

「…………?…………うん」

大野さんが、組んでた足をとき、前屈みになって座りなおした。

じっと俺を見てる瞳は真剣そのもので。

つられて、翔さんもれんげをお椀に入れて、口を引き結んでる。



なに…………?

こわい。
頼むから、急にマジにならないでよ。

俺、ずっと迷惑かけてるし、そろそろ出ていけっていわれるの?

それとも帰れって言われるのかな?

…………せめて体がもう少しマシに動くようになるまでいちゃダメかな…………。





告げられるかもしれない言葉に、覚悟を決めようとするが、うまくできない。
顔がひきつるのを隠すようにうつむいたら、大野さんは………静かに言った。


「おまえさ。家出したんだろ?行くとこねーんだろ?」


「…………」


そうだけど。



「…………なんで、家出したとかはともかく。…………当面、ここに住めや」


「え…………」


思いもしない言葉に絶句。
思わず顔をあげたら、大野さんはにこっと笑っていた。
翔さんも、承知済みとばかりに、口角をあげて、こちらを見てる。



…………ここに?



「俺らの親は、海外だから気にすることない。部屋もこの通りあまってるから、使えばいい…………ただし」


大野さんは、そこで一息いれて、指を3本たてた。


「三つ条件がある」



…………条件。



「まず一つ。 勝手にいなくなるな。出ていくときは、きちんと俺らに挨拶して出ていけ」


「…………はい」    



心配するからだよ?と、大野さんはまたニコリとした。


「二つめ。元気になったら学校へ通え」


制服や教科書は、取りに帰れ。
家の人に会いたくないなら、俺が、誰もいない留守の時を確認してやるから、翔と空から取りに行け。

…………と、大野さんはいう。

…………学校か…………。
勉強は嫌いじゃないし、この家に引きこもり続けるわけにもいかないし…………。



「…………はい」


俺は、またこくりと頷いた。


「で、三つ目。親に、自分が元気であることと、俺らの家に居候することを、手紙でも電話でもいいから、伝えておけ。能力を知ってるんなら、チカラで伝えてもいい」




…………やだ。



翔さんが、ぶっと吹き出した。


「即答すんなよ」


アハハと、翔さんが笑った。







ストーリーメニュー

TOPTOPへ