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キラキラ

第12章 ほたる ~バースト2~

大野さんも、仕方ないな、という顔で笑った。




…………だって。

…………嫌だし。




手元の掛け布団をぎゅっと握りしめた。
口をとがらして うつむく俺に、大野さんは優しく諭す。



「…………いろいろ思うところはあるだろう。お母さんの言葉が決定打で、家を出ることにしたんだよな?」



「…………」



ふっと顔をあげた。
大野さんの優しい眼差しと目があった。




「………なんで…………?」




なんで知ってんの?




「こないだのクスリのせいかな。 かずが俺に飛ばしてきたんだよ?お前が思ってきたこと感じてきたこと、投げられた言葉、家出した理由すべて」




「…………」




すべてって…………。

そんな。

自分から暴露しまくったってことかよ??




唖然とする俺に、大野さんはふわりと微笑み、続けた。



「人の心はかわるから。お母さんに会いたくなる日が、きっとくるよ。お母さんも、かずの置き手紙くらいで、はいそうですか、じゃあ…………って、嬉々として出ていってるかっていったらそうじゃないはず、と俺は思う」



「…………」



「今は無理でもいいんだよ」



「…………無理」



「うん」



「…………会いたくない」



「うん」



……………だけど。




大野さんや翔さんといれるなら。
それが…………条件なら。



そうだよ。条件だから、仕方なく。




「…………ハガキを一枚ください」




「いいよ」




大野さんがにこりとした。



「じゃあ今日からこの部屋は、かずの部屋だからね」



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