キラキラ
第13章 ミチシルベ
ぎゅうっと抱き締められ、俺は、慌ててしまう。
「…………おい………!」
(だれか来たらどーすんだ…………いや、そうじ
ゃない。なにすんだ!、か!)
自分で自分自身につっこむ。
すると松本くんは、
「ちょっとだけ」
咎める俺の声に被せるように一言言って、俺の首筋に顔を埋めた。
俺より、体が一回り大きい松本くんに抱きすくめらると、もう身動きがとれない。
首筋に松本くんの温かい吐息があたり、ドキドキしてきた。
(なんのつもりだよ…………)
どういう意図で仕掛けてきてるのか読めない。
でも、なんとなく分かるのは、本気で抱き締められてるということ。
だから、俺は、力をぬいた。
「…………」
落ち着け…………俺、とゆっくり瞬きをする。
松本くんの肩越しに見える空が青い。
彼の胸のなかはふわりといい匂いがして、予想外に心地よかった。
消毒薬の匂いしかしないであろう自分とはえらい違いだ。
人に抱き締められるなんて、ガキの時以来。
温かくて、守られているようで…………。
でも、それ以上に俺は、早鐘をうっている心臓が痛くなってきて、ゆっくり目を閉じた。
血液が、すごい勢いで体をめぐるのがわかる。
ドクドクと頭が痛いほど。
静かに抱きしめられてるのに、俺の体の中だけ大騒ぎだ。
やがて、松本くんは、そっと体を離した。
そうして、いたずらっぽく笑った。
「充電完了」
「…………なんだ、それ」
俺は、ドキドキする胸を押さえながら、精一杯強がって普通の顔をしてみせる。
「先生、顔赤いよ」
いつものように軽口をたたく松本くんに、
「お前だって、鼻の頭赤くしたまま言う台詞じゃねーだろ」
と、かえしてやった。
「…………おい………!」
(だれか来たらどーすんだ…………いや、そうじ
ゃない。なにすんだ!、か!)
自分で自分自身につっこむ。
すると松本くんは、
「ちょっとだけ」
咎める俺の声に被せるように一言言って、俺の首筋に顔を埋めた。
俺より、体が一回り大きい松本くんに抱きすくめらると、もう身動きがとれない。
首筋に松本くんの温かい吐息があたり、ドキドキしてきた。
(なんのつもりだよ…………)
どういう意図で仕掛けてきてるのか読めない。
でも、なんとなく分かるのは、本気で抱き締められてるということ。
だから、俺は、力をぬいた。
「…………」
落ち着け…………俺、とゆっくり瞬きをする。
松本くんの肩越しに見える空が青い。
彼の胸のなかはふわりといい匂いがして、予想外に心地よかった。
消毒薬の匂いしかしないであろう自分とはえらい違いだ。
人に抱き締められるなんて、ガキの時以来。
温かくて、守られているようで…………。
でも、それ以上に俺は、早鐘をうっている心臓が痛くなってきて、ゆっくり目を閉じた。
血液が、すごい勢いで体をめぐるのがわかる。
ドクドクと頭が痛いほど。
静かに抱きしめられてるのに、俺の体の中だけ大騒ぎだ。
やがて、松本くんは、そっと体を離した。
そうして、いたずらっぽく笑った。
「充電完了」
「…………なんだ、それ」
俺は、ドキドキする胸を押さえながら、精一杯強がって普通の顔をしてみせる。
「先生、顔赤いよ」
いつものように軽口をたたく松本くんに、
「お前だって、鼻の頭赤くしたまま言う台詞じゃねーだろ」
と、かえしてやった。