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キラキラ

第1章 アーモンド

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J


途中で眠ってしまったが、直前に見てたアクション映画のせいだろう。

夢うつつに、主人公が、人質になった恋人を助けにいったところまでは覚えてる。

そこから、ラストシーンまでは、自分の希望的観測にもとづき、自分が大事な人を助けにいく話にすりかわってた。

大事な人、イコール、俺の場合は翔くんで。

翔くんを無事に救いだし、ラスト、熱い口づけをかわしてハッピーエンド……なんていう、なかなか幸せな展開だった。

夢のうえでは。


(ん……?)

だけど、唇に妙にリアルな、感触が残る。

腕の中に温もりもある。

極めつけは、鼻にぬける甘い声が、至近距離で聞こえて……。

「!」

急に視界がクリアになった。

「……あれっ」


腕の中から、荒い呼吸を繰り返す翔くんが、離れていく。
真っ赤な顔をして。濡れた唇で。

「おまえ……冗談にもほどがあんぞ……」

「……!」

一瞬で、自分がしでかしたことを理解した。



(ヤバイ……)

言い逃れは、まったくできないこの状況。

なら、じぶんにできるのは。

……俺は腹をくくった。

自分にできるのは、正直になることくらいだ。

「冗談じゃ、…ないよ」

翔くんは、潤んだ瞳で、その言葉の真意をはかるように、まっすぐ見つめてきた。

だから、俺も、まっすぐ見つめ返した。

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