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キラキラ

第14章 LOVE &らぶ

「にのって、拗ねる?」


「んー……どうだろうね?」




俺は、曖昧に笑う。

子犬のようなにのの目を思い浮かべた。



ツンデレな俺の大事な恋人は、少々扱いにコツがいる。

天の邪鬼な彼は、俺がやらかしたことに対して、真っ正直に気持ちをぶつけてくるタイプじゃないんだよね。
裏の裏に本心があるから、そのへんをきちんと見極めないと、えらいことになるんだ。




「………仕事だったら、そのへんは割りきると思うけど、まあ、嫌味のひとつくらいはあるかもねぇ」




タラレバ話に思わずくすりと笑ってしまった。
にのは、…………うん。
こういうときは、分かりやすく嫌味を言うかな。



「ふうん……」



翔ちゃんは、面白そうに頷く。



「なに? リーダーに拗ねられたの?」


翔ちゃんの大事な人は、いつもほんわり笑ってるから、怒ったり拗ねたりするとこが想像できない。

俺が逆にきいてやると、翔ちゃんは首をふって苦笑した。


「逆だよ。スルー。なんにも言わない」


「できた嫁さんじゃん」


からかうと、翔ちゃんは、そうじゃないんだよなあ、と呟いた。



「なんか言ってほしくない?嫌味でもいいから」



そう?

まあ、翔ちゃんが言わんとすることは、なんとなく分かるけど。
ようは、ヤキモチやいてってことだよね。



にのの拗ねた顔を想像する。


…………やばい。……可愛い。


一人にやけてると、翔ちゃんは、名案を思いついた、と言わんばかりに体を乗り出してきた。


「でさ?考えたのよ、俺。芸人さんじゃダメだなって」


うん。


「ここはやっぱり、メンバーくらいじゃないとインパクトねえなって」


うん?


「な。思わねえ?俺がメンバーとキスしてんの見たら、智くんもさすがに妬くよな?」


「………そりゃそうでしょ」


妬く…っていうか。

俺らなら修羅場だよ?


「智くんの拗ねた顔見たいんだよなあ…」


………頭のいい人って、時々凡人には分からない発想をするけど。


ダメだよ、絶対。
洒落になんない。


「あのさ。翔ちゃん…………」


「次のゲスト、あの芸人さんだから、されそうになったら、切り返してぶっこんでみようか」


楽しそうに爆弾発言するから、


「にのは、駄目だよ」


慌てて、思わず予防線を張った。

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