
キラキラ
第1章 アーモンド
「…………今、好きっていった?」
呟くように、反芻する。
「……ああ。言ったよ」
翔くんはおかしそうに頷いた。
「本当に?」
「……おまえ、それ泣くとこ?」
困ったように、眉を下げて、翔くんが、膝立ちでにじりよってきた。
俺はソファーに座ったまま、動けない。
翔くんは、そっと膝におかれた俺の手を握ってくれた。
「……冷たい手だな……って。震えてんじゃん」
「………………怖かったんだよ……」
小刻みに震えてる指先を、あたたかい手が包み込む。
自分で、今の状況をぶち壊したものの、明日からどうしよう、と、途方にくれかけた。
「俺も、自分の気持ちが、なんなのかわからなかったよ。潤に言われて、……たったいま繋がった」
「うん……」
翔くんの親指が、俺の目尻をそっと拭った。
その、手首をつかんで、ぐいっと引っ張ると、膝だちの翔くんを、簡単に胸に引き寄せることができた。
そのまま、ぎゅっと抱きしめる。
少し熱めの体温の翔くんを感じる。
ふわっとした髪の毛が、俺の頬にふれる。
「……この匂い……」
くぐもったこえが、肩口から聞こえて、
「ん?」
と聞き返せば、翔くんが、すーっと深呼吸してる。
「潤の匂い……すげぇ好き」
なんだ、それ、と涙がとまって、吹き出した。
