
キラキラ
第1章 アーモンド
「なんかさ……、さっきから匂い匂いって。俺、なんか匂いする?」
ぎゅっと抱き締めたまま問いかければ、翔くんは、腕の中でくすくす笑った。
「するよ。すげぇ安心する匂い」
「じゃ、せめて、香りっつってよ」
「いーや……匂い、だな」
「マジで」
笑って、抱き締める腕に力をこめる。
「俺、匂いフェチみたいだからさ」
俺の胸に顔をよせて、体重をあずけてくる翔くんが愛しい。
頬に当たる翔くんの髪と、心地いい重さに、胸がいっぱいになる。
こんな現実、どうやったって、手に入らないと思ってた。
幸せで幸せで……どうにかなってしまいそう。
「……ね、キスしていい?」
低く問いかけると、翔くんがちょっとだけ体を強ばらせたのが分かった。
体をそっと離して、うつむいた翔くんをのぞきこむ。
「…………聞くなよ」
真っ赤な顔をしてる。
(……かわいすぎんだろ!)
俺は、ゆっくり翔くんの顎に手をかけ、くいっと上に仰向かせ、……くちづけた。
最初は啄むように、そっと。
「……ん……」
翔くんが震える吐息をもらして。
かっと頭が熱くなり、少しあいた唇の間に、舌をさしこんだ。
「…………ぅ……んっ……」
