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キラキラ

第15章 1000回言って

メンバーの性格以外、特に代わり映えのしなかった仕事を全て終えて、帰宅する。

ペタペタと暗いリビングに入り、カチリと電気をつける。
オレンジの照明が、俺が朝、散らかしたままの状態の部屋を照らした。
キッチンにはガラスボールに入ったシリアル。


そういや、また牛乳買うの忘れた……………。


ソファーにボディーバッグをほおりなげ、そのまま横になった。


「つっかれたー……………」



朝はバタバタとしていたから、気にもとめなかったが、この家にもいつもと違うところが、そこかしこにあることに、帰ってから気づいた。


……………うぜぇ……………


まるで、間違い探しみたいだ。


例えば洗面所に相葉さんの歯ブラシがない、とか。クローゼットにかかってた、相葉さんの上着がない、とか。
相葉さんのマグカップがない、とか。

これでもか、というほど、この家で恋人として存在していた相葉さんを否定されて……………なんだか、気が滅入る。


ないならないで、また1から揃えりゃいいんだろうけれど、あの相葉さんは、どうやらノンケだ。俺と恋人にはならないだろうし、俺もあのひととは、無理だな、と思う。

そもそもが、俺の相葉さんは、あの人じゃないもん。


つまりさ。


俺の仮説は、これで立証されたってわけだ。
ここは俺のいるべきところじゃない。


……………でも、そうなってくると、こんどは別の問題が発生するんだよな。


これ……………どうやったらもとに戻るの?


仮にこれが現実で、この状態がずっと続いて、もとに戻らなかったら?


とてもじゃないけど、俺は嵐として活動していく自信がない。


はあ……………と、ため息をつく。

ソファーに横たわったまま、ゆっくり目を閉じた。


キーホルダーにあった、相葉さんちの合鍵もなかった。


……………俺はいったいなんの罰をうけているのだろう。

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