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キラキラ

第15章 1000回言って

だけど、無理矢理寝ようとしても、眠れるわけもなかった。

無駄にベッドで、ゴロゴロしててもネガティブな考えしか浮かばない。


時々、泣いて、時々、目を閉じて。


飲まず食わずで、そんなことを繰り返して一日が終わる。


……………病人のようなオフをすごしてしまった。


俺は、ぼんやり天井を見上げて額に手をやる。


なんだか、どっちがどっちか分からなくなりそうで不安になってきた。

自分の居場所は別にあるはずなのに。

こっちが現実で、今までが夢だったんじゃないだろうか、とか思ってしまう。


……………わけわかんないや。



自分すらも分からなくなってきてて、正直怖く思う。

俺は、普段どんな人間だったろう。
どんな顔で、あの人たちに接してきただろうか。


「はあ……………」


心臓がぎゅうっと握りつぶされそうで、喘ぐような吐息をついたら、目尻からまた、一筋、涙が落ちた。


怖い。


すごく怖い。



***** ***** ******




翌日は、嵐のレギュラーの収録日だった。

体をはって、ゲストと対決するゲームのコメントには、ある程度のテンションも要求される。

それはそれ、と割りきらねばならぬことは仕事人としてプロとして、分かってるつもりだ。

翔さんがふってくる話題を混ぜ返したり、傍らにいるリーダーをいじったり、俺なりにがんばっていたら、ふと視線を感じ。

顔をむけると、相葉さんが、じっとこちらを見つめていた。

心配そうな色をたたえている表情が、いつもの相葉さんにかぶってみえて、俺は、慌てて視線をそらした。



……………今さら、そんな目でみんなよ。



心で悪態をつくも、ドキドキして、息がしづらくなった。




そんななか、今日の崖を登るお当番は、相葉さんと俺が指名された。
ハーネスをつけて、ストレッチをしながら、準備を待ってると、隣で腕を伸ばしながら、

「なあ」


と、相葉さんが口を開いた。


「なに」


「二宮、おまえ大丈夫?」


「なにが」


「今日、おまえ顔が一段と白いぞ」


「……………」



心配してくれるんだ?

俺の相葉さんみたいなこと言わなくてもいいのに。



俺は、ちょっと嬉しかったくせに、わざと普通にふるまった。


「なにそれ。平気だよ」

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