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キラキラ

第15章 1000回言って


相葉さんが……………。


俺は、目の前で、ゲームのスタンバイをしている相葉さんを見つめた。
翔さんと言葉を交わしながら、目尻を下げて、くしゃっと笑ってる。


あ…………あの顔好き。



屈託なく笑う相葉さんの笑顔は、俺に元気をくれる。

ほら、今も。

寂しくて寂しくて、ただ帰りたい思いに押し潰されかけてた心が、ふわりとすくわれた。


きっと、誰が落っこちてきても、それがたとえメンバー以外の人間であっても、きっと相葉さんは同じことをするにちがいない。

でも、やっぱり。
どうしようもなく嬉しく思う自分がいる。


走り込んで、受けとめるだなんて。


さすが、相葉さん。


「……………嬉しそうだね」 


「え?!」


にんまり笑う潤くんに、ドキリとする。


「かっこいいね。相葉さん」


そのままにやにやと、同意を求められ、かあっと顔が赤くなる。
こないだ、翔さんについて、潤くんをからかったときの反撃をうけてる気分だ。

なんだよ。お互いがお互いをからかいあうだなんて、不毛だな。

俺にちょっかいかけるなんて、100年早いよ?


「ほら。あなた、翔さん応援しなきゃ」

しっしっと手をふると、潤くんはあからさまに嬉しそうな顔をして、そだね、って言った。


お。開き直ったな。


潤くんは、翔さんが好き。俺は、相葉さんが好き。でも、二人とも気持ちは伝えてない。


今日分かったけど、このなんとも少女漫画のような状況が、今俺がおかれてる事実みたいなんだよな。

潤くんは、翔さんを好きだけど、肝心の翔さんが何もわかってない。
楽屋の様子をみてたら、察することができた。

相葉さんのそばにいれないのは、寂しいけど、少しだけ……………ほんのちょっと救われたのは、潤くんの存在かもしれない。

戦友じゃないけど。
片想いの気持ち。共有することができるよ。

報われる可能性の少ない恋は、辛いね。

せめて近くで見てる間は、幸せな気持ちになりたいよね。



俺も立ち上がり、応援席の柵際まで移動する。

「無理すんなよ?」

大野さんが柔らかい口調で、声をかけてくれたから、ありがとうと小さく答え、大野さんと潤くんの間に立った。


目の前で、相葉さんと翔さんがポーズを作って笑ってる。

俺は、この世界にきて初めて少し幸せな気分になれた。

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