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キラキラ

第17章 🌟


紅茶に口をつけながら、ぼんやりしてると、ミヤが傍らで、今日の予定を告げ始めた。

「午前中は、縫い師が参りますので、母上さまと今度の舞踏会に着るドレスをお選びいただきます」


「……………青ならなんでもいいよ」


「そうはいきません」


ミヤが苦笑する。


「昼からは、お茶会に櫻の国のショウ王子をご招待しております」


「……………ショウ王子」


カップをソーサーにおきながら、記憶をめぐらす。
漆黒の髪に、ぱっちりした二重。爽やかな笑顔をかねそえる、長身のその男は、ジュンとは違う系統の男前な王子だ。

過去に何回かお茶を共にしたが。


……………あいつかあ。


「あいつ、真面目すぎて面白くないんだよなあ」


何が悲しくてお茶を飲みながら国政の話をしなければいけないのだ。

この間も、熱心に繰り広げられた話に、まっったく興味がわかず、早く帰ってくれないかなあ、と思ってた記憶しかない。

だが、鈍感な男なのか、興味がない顔をしても、それに気がついてくれない。

嬉しそうに話す姿勢は好感はもてたものの。

……………やだなあ。



「で、夜は相の国の、マサキ王子と、お食事でございます」





「……………なんですか」


俺が、変な顔をしたから、ミヤも怪訝な顔をしてみせた。


「あいつ、やだ。キャンセルして」


「……………そうはいきません。相の国の王女も来ることになっております故」


マジかよ……………


俺が、難しい顔をしたから、ミヤが心配そうに俺をのぞきこんだ。


「………何か問題でも?」


……………ありあり。大アリなんだよ。


俺は、ミヤを手招きして、俺の前にかがませた。
他の侍女に聞こえないように小さく囁く。


「……………あいつの目的。おまえだからな」


「……え」


「マサキ王子が会いたいのは、俺じゃない。ミヤ目当てだよ?」


「そんなわけ……」


あるんだな、これが。


俺は、肩をすくめて、戸惑う顔をしているミヤを見つめた。

この国に来ても、あいつの瞳が追うのは、俺の傍らに立つミヤだと、すぐに気づいた。

黒髪、長身、細身。甘いマスクに加えてすごいフェミニスト。
女好きに、見せかけて…………実は、狙いは、男だなんて。

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