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キラキラ

第19章 バースト3

大野家は、そろいもそろって、やたらめったら、頭がいいということもわかり、トレーニングの日は、ついでに勉強も教えてもらってる俺だ。

物理と化学はかず。数学は翔。英語は大野さん。

三人とも家庭教師ばりにいろいろと教えてくれるから、そのおかげでこないだの期末は、まあまあの成績がおさめられたのだ。

急に成績があがったもんだから、親も大喜びで、俺も嬉しい。

まあ、もともとが地をはうような点数をとっていたから、それ以上下がりようがないのもあったんだけどね。

「公式?」

「うん。これじゃなくて。こっちを使わないと」

言って、かずがテキストをパラパラめくって、蛍光ペンでチェックをつけてくれた。
そのまま、意味を説明してくれるのをうん、うん、と聞く。
学校の授業よりも、数段分かりやすい。

「…分かった?」

「多分」

「多分て(笑)」

かずが、肩をゆらして笑う。
その笑顔をみて、この人は、本当に綺麗に笑う人だな、と思った。
一見、儚げで頼りなさげな感じがするが、芯が強い人だな、ということも分かってきた。
言うことも、いちいち筋が通ってるし、守ってあげたい外見とは裏腹に、意外と強い。

「潤、終わったらちょっと手伝って」

「あ、うん」


トレーニングを始める前に、下ごしらえしていた夕飯を、ささっと仕上げた翔が俺を呼んだ。

キッチンに入ると、翔はグリルから焼き魚をあげてるところだった。

「そこの皿、運んでな」

「うん」

「あと、味噌汁よそって。智兄ももうすぐ帰ってくるから、全員分」

「はーい」

トレーニングの日は、自分の母親が夜勤の時と決めている。

というか、大野さんたちにそうするようにすすめられた。
一人で、家で過ごすなら、トレーニングがてら大野家に来て、ついでに泊まっていけばいいと。

最初は遠慮をしていた俺も、三人と一緒にすごす空気がどうしようもなく安心できて好きになり、
今では、自分の能力の向上のためだ、と自分に口実をつくり、母さんの夜勤のたびに入り浸ってる。

今日の味噌汁は、大根と油揚げと豆腐。
大野さんが、好きなやつだ。
味噌のいい匂いに、鼻をひくつかせながら、お玉を手に取る。
大野さんの汁椀には具だくさん。
かずは少なめ。
翔は、豆腐多め。

量の配分や、好みも把握してきた。


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