
キラキラ
第19章 バースト3
賑やかな夕飯を終え、順番に風呂に入って、それぞれ自室にはいった。
俺は、寝るときはかずと翔の部屋に交互に泊まっている。
大野さんは、遅くまで持ち帰った仕事をしてることが多いらしいから、遠慮してる。
別にいいのに。一緒に寝ようよ、と、大野さんはふにゃりと笑うけど、さすがに、ね。
こないだは、かずの部屋だったから、今日は翔の部屋にお邪魔した。
一応受験生の翔は、寝るまでずっと勉強している。
だから、俺は、俺用に用意してもらった布団の上で翔の部屋の本を読み漁るのが常だった。
読書家な翔の部屋の本棚は、数百冊はあるであろう本でぎっしりだ。
ジャンルも多彩で、小説はもちろん、ノンフィクションや、専門書とか、とにかく興味深いものがたくさんで。
タブレットで、読書をできる時代ではあるが、紙ベースの方が性にあうという翔に、俺も同感だった。
俺は、夜更けまで、かずといろんなお喋りをするのも好きだが、勉強している翔の横で、静かに読書をするのも好きだった。
自分がいたら勉強の邪魔にならないか、と、最初は遠慮したが、
「おまえが、音読でも、し始めたりしない限りは、大丈夫」
と、笑ってくれたから、お言葉に甘えてる。
俺は、よんでる本のページをめくるとき、たまに顔をあげて、翔をみる。
頬杖をつきながら集中してる背中が、なんだか頼もしくてかっこいいから。
兄貴がいたらこんな感じかな……
ふふっと頬が緩むのを押さえながら、手元に視線を戻したら、サラサラノートを滑ってた、シャーペンの音が止まった。
「……ねむ」
翔が、小さく呟いてテキストを閉じたのに気づき、俺も、もう一度顔をあげた。
「何時?」
「……11時30分かな」
眠そうな翔の問いに、ベッドサイドの置き時計に目をはしらせて答えると、翔は、う~ん、とのびをした。
「……寝ようか」
「うん」
読んでたページにしおりをはさみ、本棚に戻そうと立ち上がると、翔は、いいよ、貸してやる、と笑った。
「おまえ、それミステリーだろ。途中でやめたら、気になんねえ?」
「……気になる」
俺がぽつりと返すと、翔は、はははっと笑った。
