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キラキラ

第19章 バースト3


Jun



ゆっくり重なった唇が、少し離されて、「嫌?」と低く囁かれる。


……そんなわけないじゃないか。


俺は、小さく首をふった。
見上げた先の翔の優しい瞳に、再びドキンと心臓がなり、……強い目眩がした。
チカラがほぼ残ってないから、跳びようがないことに、ホッとする。


それよりも。
まさかの展開に唖然とする。


翔を思ったらドキドキした。
チカラも不安定になってしまうのは何故だろうって、ずっと考えてた。

さらに、このあいだ跳んだときの翔からのキスの意味も考えてた。



今、翔に言われて、ようやく分かった。



翔のキスの意味も。

そして、自分の気持ちも。



俺……翔が好きだ。



ぽろりと、また涙がこぼれた。
見上げる翔は、とても優しい顔をしてる。
長い指が頬に触れ、親指でそれを拭われる。



「嫌じゃないか。……良かった」



あ……伝えなきゃ



「翔……」



「ん?」



「……俺……」


かすれた声が震える。
心臓が破裂しそうなほどドキドキしすぎてひどく頭痛がしてきた。
ないチカラをさらに消費しようとしてるからだろうか。


「どうした?」



「俺も……」



頭が割れるように痛い。



「………潤?」



俺の異変に、翔の硬い声がした。



好き



……力尽きた。
ふうっと全身の力が抜けた。



「…潤?大丈夫か?」


ペチペチと頬を触られるのが分かった。
だけど、もう声も出なかった。



……言えただろうか。

俺も好きって。

翔が好きって。



思いがぐるぐると胸にうずまいたまま。
俺は、そのまま、ずるずると暗闇にひきずりこまれるように意識を落とした。






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