キラキラ
第19章 バースト3
物欲しげって……
つっこもうと思ったら、翔の手が俺の頬をつつみ、その綺麗な顔がスッと傾けられて、チュッ……とキスされた。
柔らかい唇が、離れ際に、低く甘く囁く。
「こういうことをたくさんしたくなる」
にっと笑う翔に、どきっと胸が高鳴った。
と、同時にお約束のように始まる、キンとした耳鳴り。
うわっ…
一瞬顔をしかめた。
ところが、おっと、と、素早く翔に右手を握られる。
ざあっとながれこんできた翔のチカラが、俺の沸騰しかけたものを封じ込めた。
まるで、火種に水をかけたかのように、それは唐突に消えた。
「お前が暴走するタイミングもなんとなく分かったし、対処法もつかんできたよ」
翔が、鮮やかにウィンクして笑ってみせた。
「今までピョンピョン跳びまわってたのは、ずっと俺にときめいてくれてたんだな」
「……っ」
「早く言ってよ」
言うかよ!!
……つか、どうやら俺の気持ちは伝わってるみたいだ。
当分このネタでからかわれそうだな…。
うつむいてたら、翔が俺の手をぎゅっと握ったまま引っ張った。
そうして、広い胸に抱きすくめられた。
暖かい。
俺は、目を閉じた。
「……潤」
「……ん?」
「人とつきあうのは初めて?」
「……初めて」
「俺も、ホントに好きなやつとつきあうのは初めて」
翔が俺の髪に鼻をうずめてるのが分かる。
熱い吐息がうなじにかかり、ドキドキした。
同時に翔から流れてくるチカラが、俺をコントロールしてるのも分かる。
大きなものに包まれているようなそれに委ねるのがとても気持ちいい。
「だからさ……たくさん俺と恋しような」
翔が優しい声で囁いた。
「いっぱい俺にときめいてよ」
「……」
歯の浮くようなこんな台詞。
よくもまあ、言えるもんだな。
天然なタラシかな、この人。
くすっと笑って、翔の肩口に顔をのせながら頷いた。
そして、ぽつりと言ってやった。
「……翔も俺に、いっぱい恋してね」
翔が俺を抱き締める腕に力がこもった。