キラキラ
第20章 🌟🌟
何食わぬ顔をして、にこやかに席に戻った。
父上は、客人のもてなしに忙しい。
俺はテーブルに置いてあったワインに口をつけながら、広間を見渡した。
兄たちは、それぞれ綺麗どころをみつけて、楽しそうにやってる。
一の兄のマサユキなんか、プレイボーイだけあって、たくさんの女性をはべらしてるし。
……よろしいことで。
顔には出さずに、あきれてみる。
一の兄とは、年がすごく離れてるから、あまり関わった覚えがない。
女好きというイメージしかないんだよな。
面倒見がいいのは、三の兄のヨシヒコ。
小さい頃から、何かと俺をきにかけてくれて、それこそミヤとセットで、ずーっと可愛がってくれてきてる。
ふっとため息をついて、視線をめぐらすと、……六の兄のジュンイチだけは、窓際でだれかと話し込んでるのがみえた。
ジュンイチとは、年も近いことがあって、いろいろと話をすることができ、わりと好きな兄の一人だ。
話し込んでるやつに見覚えがあった。
漆黒の髪のあの柔らかな笑顔は。
…………あいつは櫻の国の。
話のくそつまらないショウ王子だ。
俺の時とはちょっと違う表情に驚く。
……同性相手だとあんな風に笑うんだな。
ふうん……と思いながら、小さなプチケーキに指をのばしかけたら、目の前をふわりと風が通り抜けた。
好ましい香水の香りに、顔をあげたら、ふわふわのウェーブの髪をゆらし、極上の笑みを浮かべた王子が俺の前にひざまずいてた。
「姫。お相手願えますか」
「………」
出された手を拒否ることは、できない。
だって、ホスト国だもの。
どこかで必ず誰かが見ている。
俺の行動は、父上の行動だ。
俺は渋々立ち上がった。
もちろん、そんな素振りは見せずに、ふわりと笑ってみせて。
「はい」
俺の指が、松の国のジュン王子の手のひらにのせられた。