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キラキラ

第21章 ひぐらし ~バースト4~


相葉くんと潤くんが通う高校は、大野家から出発すると、俺が通う学校の通過駅にある。

いつも電車の中から眺めるだけで、今まで降りたことのない駅に降りるのは新鮮な気分だった。

のんびりと改札をぬけ、駅前に立つ。

少し古い建物が多いが、昔からの商店街というような店が立ち並び、そこそこに賑わっている街だ。

ふふ……とほくそ笑みながら、下校時のあの二人を想像してみる。


コンビニには、よく立ち寄るのかな。
そっちの駄菓子屋には、どうかな。


いつも、あの二人が見てるであろう景色を、今自分が同じように見てることが不思議だ。

俺は、手の中にあるスマホに目をおとし、時間を確認した。

勢いで出てきたのはいいけど、どう考えてもまだ部活中だろうな。

幸い、本屋やCDショップなども軒を連ねているから、暇は潰せそうだった。

外にいても暑いし、立ち読みをして待つことにしよっかな。

俺は、本屋の自動ドアに向かった。







だいぶながいこと雑誌を読みふけったころ、ふと時間を確認する。

4時をまわろうかというところだ。


そろそろいいかなあ……。


あまり、ギリギリになって、すれ違って会えなくても意味がないし、少しくらいなら校門の前で待っててもかまわないな、と思った。

俺は、読んでた雑誌をもとに戻し、本屋の外にでる。


「…あつっ……」


店の中の空調が涼しすぎて、冷たくなった肌に、アスファルトにこもった熱気が、もわっとまとわりつく。
冷えきってた体が、一度に熱され、息がつまりそうになった。


こんな暑さのなか走り回ってるなんて、相葉くんはタフだなあ……。
俺絶対無理。


歩いてるだけなのに、暑さのあまり、足も重くなってきた。
夕方は、昼間の熱された空気も残るから、余計に暑い気がする。


記憶に残る学校名を、スマホで検索し、道案内のアプリを見ながら、ふうふう言いながら歩く。

見知った制服を、チラチラみかけるようになり、道があってることに安心感を覚えた。

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