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キラキラ

第21章 ひぐらし ~バースト4~

やがて、学校らしき建物がみえてきた。

夏休み中だから校舎には人の気配はなさそうだが、手前のテニスコートでは、テニス部が練習中であった。
ここからはみえないが、きっと奥には体育館やグラウンドもあって、運動部が練習しているのだろう。


俺は、ちょうど日陰になってる植え込みを見つけて腰かけた。
ずっと立ちっぱなしだったから、足がだるい。
棒のような足を投げ出し、手の甲で顎を伝う汗をぬぐう。

校門の横手になるから、相葉くんがでてきたらすぐつかまえれるだろう。


こんなに汗をかくことは、普段の俺にはありえないことだから、なんだか気持ちいい。
リュックを背負ってる背中にも汗がペッタリはりついて、ちょっと運動した気分だ。


さっきコンビニで購入したスポドリをイッキ飲みして、一息ついた。


……ゲームでもしてよっと。


ポケットから、スマホをだし、相葉くんの気配を待った。





どれくらい待っていただろうか。

「……かず?」

ふ、と顔をあげたら、お日様のような笑顔でこちらをのぞきこむ待ち人。

「やっぱかずだ!どしたの?こんなとこで」

予想通りの笑顔。
俺を見て、こんなに笑ってくれる人はこの人くらいだ。
気のせいか、すごい勢いで振っている尻尾が見える。
思わず、こちらも笑顔になった。


あんたを待ってたんだ……と、口を開こうとしたら、相葉くんの周りにいた、そろいのボストンバッグを背負った集団が、口々に好き勝手なことを言い出した。

「相葉~?そいつ誰?」

「え。俺の友達。他校の子なんだ」

「女の子?……あ、野郎か」

一瞬カチンとする。
どうみたって俺は女には、みえないだろうがよっ。

むっとした顔でそいつらを見る。

バスケ部のチームメイトなのだろう。
いかにも、といった風情の面々が、興味津々で俺を見てる。
値踏みされているような感覚になり、ちょっと嫌な気持ちになった。


……居心地が悪い。


「ほっそ。女の子みてぇ」

「色白いしな」

「なに?可愛い顔してんじゃん」


「ちょっと~!おまえら手ぇ出すなよ?」

「は。出すかよ」

「男にゃ興味ねーわ」
 

…………。

普段穏やかな空気のなかで生活してるから、このガヤガヤしたテンポについていけない。

押し黙ってると、相葉くんの後ろにいた可愛らしい女の子が、相葉くんの腕をとった。




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