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キラキラ

第21章 ひぐらし ~バースト4~

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次の日。

まあ、予想はしていたが、俺は朝から熱を出した。


「38度4分………昨日、そんなに疲れるようなことしたのか?」


意外と高い数字の体温計を見て、翔さんが眉をひそめた。


「う……ん、まあ…」


熱中症もどきになって、倒れたことなんてカッコ悪くて言えない。

ハア……と熱い息を吐いて、タオルケットを鼻先まで引き上げた。


「寒いか」

「……少し」


翔さんが、手首をひねるように指を動かすと、クローゼットからスーっと薄い羽布団が飛んできて、ふわりと、体にかけられた。
ぞくぞくしてた背中が、少し楽になる。


「……ありがと」

翔さんがニコリとした。

「空調は、いじったら暑いだろうからこのままにしとくからな」

手早く冷却シートを額にはりつけてくれて、頬に優しく指が添えられる。


「……んー…熱いな。飯は?食えそう?」

「……いらない」

「じゃあ、オレンジ絞ってきてやるよ。待ってろ」

言って、立ち上がった翔さんに、声をかけた。


「翔さん」 

「ん?」

「……俺のことは気にしないでいいから、潤くんと出かけてきなよね」


翔さんは、目を一瞬見開いてから、ふっと笑った。


翔さんと潤くん。
二人、めでたく、昨日からおつきあいすることになったって。
昨日の晩、その話を聞いて、俺はとても嬉しかった。
良かったねって言ったら、翔さんはすごく幸せそうに笑って、かずのおかげだよって言ってくれた。
俺もすごく温かい気持ちになったんだ。

でも、せっかくくっついて、今日初デートを計画してたかもしんないのに、俺のせいで計画を狂わすわけにはいかないよね。

そう思って、声をかけたんだけど。


「ばーか。受験生だぞ、俺は。そんなに外出しねえよ」


男前に微笑んで、翔さんは部屋を出ていったのだった。

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