キラキラ
第21章 ひぐらし ~バースト4~
それからしばらく、うつらうつらしていた。
少し寝て、目が覚めて。
ぼんやり天井を見て、また意識を沈めて。
どのくらい時間がたったのだろう。
ヒヤリとした指を感じて、現実に連れ戻された感覚に、ふっと目を開けた。
翔さんが大きな目を心配そうに曇らせながら、俺をのぞきこんでる。
「……気分は?」
「……」
ずっと感じてた寒気はおさまってた。
少し、顔が火照っている気がするが、朝より全然マシだ。
「……大丈夫」
「…そっか、良かった」
にこりとして、頭を撫でられた。
翔さんに、頭を撫でられるのは嬉しい。
気持ちよくて、目を細めて微笑む。
「さっき……相葉くんが来たよ」
「……え?」
「おまえ、ちょうど眠ってたし、事情を話して帰ってもらったけど」
「……あ……うん」
……なんだ。帰っちゃったのか。
「なんか。昨日はごめんって。伝えてほしいって言ってたけど」
なんか、あったのか?と、いいたげな顔をする翔さん。
……笑っちゃうよね。
そこは、ありがとうで、いいのに。
俺は、小さく、
「……なにもないよ」
と、呟いた。
なんで、謝るのだろう。
相葉くんは、何か悪いことした?
確かに俺は、ちょっぴりつまらなかった。
でも、それは、俺の勝手な思いからじゃんか。
それとも、……よっぽど変な顔をしてたんだろうか。
……やだな、俺。
そのとき、遠くで、ピンポーンとインターフォンのなる音がした。
翔さんが、誰だろ……と、立ち上がって部屋を出ていく。
俺は、はあ……とため息をついて寝返りをうった。
だいたい、何しにきたんだか。
部活はどうしたんだよ。
「……かず。相葉くんが、お見舞い品持って、また下にきてるけど。どうする?会う?」
応対を終えた翔さんが、部屋に入ってきて心配そうにたずねた。
さっきの俺の様子をみて、気遣ってくれているのだろう。
「まだ、寝てるっつって、玄関で俺が受け取って帰ってもらおうか?」
「……ううん、会う」
「大丈夫か?」
「大丈夫」
……相葉くんの顔が見たい。