キラキラ
第21章 ひぐらし ~バースト4~
Masakl
かずに、会いたい。
会って話がしたい。
ただそれだけで、大野家のマンションまで来た。
今日も部活はあったけど、かずが気になって、全く身が入らず、昼から初めて仮病を使ってサボってしまった。
豪華なつくりのエントランス前で、目の前にそびえる高いマンションを見上げた。
この最上階に、大野一家が暮らしてる。
……かずもいる。
唇をかみしめて、昨日のかずの姿を思い出していた。
久しぶりに出会ったかずは、相わらず華奢な体で、色白で、可愛かった。
暑いなか、ずーっと俺を待っててくれたかず。
気まぐれなんだろうけど、それでも会いに来てくれたのが嬉しくて。
飛びつきたいのを我慢するのに苦労した。
なのに。
せっかくかずが、俺に勉強を教えてくれようとしてたのに。
ケイ……マネージャーのケイが、俺のそばを離れなかったんだ。
俺たち男子バスケのマネージャーをつとめてくれてるケイ。
ハキハキしてて、気配り上手で、マネージャーとしては申し分ない。
ひとつ上のユーリ先輩と、二人でうちの部をまわしてくれてる、貴重な人物だ。
そのケイは、どうやら俺狙いらしい、というのを周りのやつらにきいたのは、つい最近。
でも、俺だって、そこまでバカじゃない。
あれだけ猛アタックされてりゃ、何らかの思いは持ってくれてるんだろうな、ということくらいわかってた。
でも、応えることはできないから、ズルいとは思うが、のらりくらりとかわしてるのが現状だった。
俺は、かずが好きなんだから。
コクられたら、ちゃんと断る準備はある。
でも、コクられたわけでもないのに、避けるのはおかしいだろう。
冷たくするのも違うだろう。
結局、他の部員のやつら同様の態度をとっているのが得策なんだろうけれど、昨日のように、ケイのお世話がすぎたときが厄介なのだ……。
ちょっと、つまんない顔をしてたかずが忘れられない。
だいたい、なんで俺は、昨日持っていった課題が英語だったんだろう。
なんで、数学のワークをいれなかったんだろう!
後悔ばかりがおしよせた。
だから、今日は、逆に、俺が押しかけちゃおうと思ったのだ。
いいよね、たまには。
用事があったら帰ればいいだけ。
昨日の御礼を言おう。
部員のやつらもすごく喜んで、またきてって言ってるって、伝えよう。
かず。来たよ。