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キラキラ

第21章 ひぐらし ~バースト4~

アイスケースの中をのぞきこみ、あれでもないこれでもない、とガサガサ物色。

かずが、前に、「これ美味しいな」と言ってたような気がするバニラアイスをひとつ購入した。

……買ったのはいいけれど。溶けたら困るよな。

コンビニを出ると、歩いてきた道を、大野家のマンションに再び向かい、ダッシュで引き返した。


くそ暑いなか、街中を全力で走ってるような変わり者は俺くらいだろう。
でも、それもこれも、かずのため。
かずのためなら、頑張れるよ、俺。

流れてくる汗をそのままに、再び豪華なエントランスに飛び込んだ。

パネルに、大野家の部屋番号を急いで入力。
ピンポーンピンポーンと、いう、さっきも聞いた呼び出し音は、鈴が鳴るような綺麗な音がする。

……さすが高級マンションは違うな。

はあ……はあと息を弾ませながら、反応を待った。
ほどなくして、柔らかい翔さんの声がした。

『……はい』

「……あのっ………かずに、アイス買ってきたんですけど……そのっ……」

息を一生懸命整えながら訴える。

『……相葉くん?』

「はい!」

……名前言ってなかったよ!

モニターと声でばっちり分かるだろうけど。
スピーカーからは、ちょっと笑いを含んだような声。

『どうぞ』

ガーっ、という音をたてながら、分厚いドアが開いた。

俺は、急いでその中に走り込んだ。





「入りなよ」

アイスの入ったビニール袋を手渡そうと、翔さんを見上げたら、翔さんは優しく微笑んで、家のなかを指差している。

「……え」

「かず、さっき起きたんだ。相葉くんに会うって言ってる。せっかく来てくれたんだし、顔みせていってやってよ」

「大丈夫……なんですか?」

「話くらいできるよ(笑)」

かずに会える!

俺は、ドキドキして、おじゃましまーす、と、靴をぬいだ。
流れてくる汗を肩口でぬぐい、アイスの袋を握り直した。

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