キラキラ
第21章 ひぐらし ~バースト4~
Kazu
冷たくて甘いアイスが、口のなかに広がった。
美味しい……けど。
「……」
このシチュエーションは、妙に照れる。
なんで、あーん、なの?
それ、おわび?
違くない?
相葉くんが、スプーンを持ったまま、じっと俺をみてるけど、なんて言っていいかわからずに、無意味に口をモゴモゴさせてたら、
「美味しい?」
相葉くんが、ほんのちょっと赤くなった顔でニッコリと聞いてきた。
なんだよ。
…相葉くんが照れてどーすんだよ。
心でツッコミながら「……うん、美味しい」と答えてやったら、相葉くんはものすごく幸せそうに微笑んだ。
思わず、胸がきゅうっとした。
その瞬間だった。
「…っ」
熱のせいで、ガードが甘かったんだろう。
いつもは、意識してかけてるストッパーが、はずれた。
俺の能力……心を読むチカラが、オンになった。
同時に、すごい勢いで、相葉くんの思いが俺に流れ込んできた。
恥ずかしいくらいに情熱的で、照れるくらいに真っ直ぐな思い。
俺を……好きだ、と。
それは、まぎれもなく翔さんと潤くんみたいに。智さんとその恋人みたいに。
その意味の思いだった。
俺に好意を持っていてくれてるのは、なんとなく分かってたけど……こんなに?
こんなに思ってくれていたんだ?
……好きだよ、かず。大好き。
「………」
こんなの……っ
こんな真っ直ぐな思い、こんな卑怯な方法で知ったらダメじゃん俺…!
手を繋ぎたい……キスがしたい
目の前でキョトンとしている、相葉くん。
だけど心の奥底ではこんなにも俺を思っていてくれてるんだね。
……知らなかった。
どんどん膨れ上がっていく相葉くんの思いを受け止めきれなくなり、どうしていいか分かんなくなって、俺は、思わずうつむいた。
「……かず?」
心配そうな相葉くんの声がする。
相葉くんの顔を正面からみることができなくて、俺は、嘘をついた。
「ごめん……アタマ痛い……」
小さく言って、布団にもそりと横になった。
「えっ!? 大丈夫?」
「大丈夫……ちょっと寝るね。」
予想以上の彼の本気に、今の俺は、立ち向かえない。
「……ごめんね、無理させた?」
相葉くんが泣きそうな声になったから、それは違う、と言いたくて、俺は微笑んだ。
「違うよ。…来てくれて、ありがと」