キラキラ
第21章 ひぐらし ~バースト4~
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サイドボードにおいてるデジタル時計は、午前1時をまわった。
一日中、ずっと、うとうとしていたせいもあるかもしれないが、……全く眠れない。
何よりもこのもやもやした不安定な気持ちが、不眠の原因のひとつでもある。
この決定打は、相葉くんにチカラを使ってしまったことだった。
知っちゃいけないものを知ってしまった罪悪感に押し潰されそうだ。
ただでさえもダルいし、しんどいのに、気持ちまで落ちぎみで、どうしようもなく辛くなってきて。
何十回目かわからないため息をついて、寝返りをうった。
その時。
微かにドアを開ける音がしたと思ったら、わずかな風と、するりと入り込んできた人の気配。
ゆるゆると瞼をあけると、薄暗がりの中、智さんがふわりと笑ってこちらをのぞきこんでるのがわかった。
「……呼んだか?」
「ううん……」
「でも、お前すごく弱ってるぞ」
「うん……」
智さんはなんでもお見通しだ。
俺の変化をいつもいち速く察知してくれる。
かなわないな……
智さんは、ベッドサイドに座り、静かに俺の髪を撫でた。
そんな智さんの優しくて深い瞳を見ていたら、なぜだか泣けてきた。
「…なんで泣く?」
ぽろぽろ涙を流す俺の頬を、智さんの親指が添い、そっと涙を拭ってくれた。
俺は、智さんの顔を見上げて、呟くように言った。
「……智さん」
「……ん?」
「チカラを使っちゃった……」
「……いいじゃん」
そんなときもあるだろ?と、ゆったり穏やかに言ってくれるけど……違うんだ。
「……知っちゃいけないことを……知っちゃった」
智さんは、少し考えて、俺に顔を近づけた。
「それは、…かずにとって、辛いことなのか?」
「……辛くは……ない」
「いいこと?」
「……わかんない」
でも。
「でも、きっと先に俺が知ったらダメなやつなんだ」
大型犬がじゃれつくようなあの瞳。
恋人みたいなことをしたがる無邪気な顔。
全身で、なついてくれてるのは、十二分に分かってる。
でも。
俺を好きだ、という本気を、先に能力で知ってしまったことに、どうしよう……という気持ちがぬぐえなくて。
つぎに、相葉くんに会ったときに、普通にふるまえる自信がないのだ。
サイドボードにおいてるデジタル時計は、午前1時をまわった。
一日中、ずっと、うとうとしていたせいもあるかもしれないが、……全く眠れない。
何よりもこのもやもやした不安定な気持ちが、不眠の原因のひとつでもある。
この決定打は、相葉くんにチカラを使ってしまったことだった。
知っちゃいけないものを知ってしまった罪悪感に押し潰されそうだ。
ただでさえもダルいし、しんどいのに、気持ちまで落ちぎみで、どうしようもなく辛くなってきて。
何十回目かわからないため息をついて、寝返りをうった。
その時。
微かにドアを開ける音がしたと思ったら、わずかな風と、するりと入り込んできた人の気配。
ゆるゆると瞼をあけると、薄暗がりの中、智さんがふわりと笑ってこちらをのぞきこんでるのがわかった。
「……呼んだか?」
「ううん……」
「でも、お前すごく弱ってるぞ」
「うん……」
智さんはなんでもお見通しだ。
俺の変化をいつもいち速く察知してくれる。
かなわないな……
智さんは、ベッドサイドに座り、静かに俺の髪を撫でた。
そんな智さんの優しくて深い瞳を見ていたら、なぜだか泣けてきた。
「…なんで泣く?」
ぽろぽろ涙を流す俺の頬を、智さんの親指が添い、そっと涙を拭ってくれた。
俺は、智さんの顔を見上げて、呟くように言った。
「……智さん」
「……ん?」
「チカラを使っちゃった……」
「……いいじゃん」
そんなときもあるだろ?と、ゆったり穏やかに言ってくれるけど……違うんだ。
「……知っちゃいけないことを……知っちゃった」
智さんは、少し考えて、俺に顔を近づけた。
「それは、…かずにとって、辛いことなのか?」
「……辛くは……ない」
「いいこと?」
「……わかんない」
でも。
「でも、きっと先に俺が知ったらダメなやつなんだ」
大型犬がじゃれつくようなあの瞳。
恋人みたいなことをしたがる無邪気な顔。
全身で、なついてくれてるのは、十二分に分かってる。
でも。
俺を好きだ、という本気を、先に能力で知ってしまったことに、どうしよう……という気持ちがぬぐえなくて。
つぎに、相葉くんに会ったときに、普通にふるまえる自信がないのだ。