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キラキラ

第21章 ひぐらし ~バースト4~


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今回の練習試合の場所は、相葉くんたちの学校らしい。
分かる場所でよかった。

朝御飯を食べた俺たちは、留守番の翔さんに、行ってきます、と声をかけて出た。

昨晩、俺が、相葉くんからなにも聞かされてなかったということを、潤くん経由で聞いてたらしい翔さんには、大丈夫なのか、と心配されたけど。

大丈夫もなにも。

俺は、悪くないし、なんなら相葉くんを追い込む気持ちの準備だってあるよ。
相葉くんの姿を見つけたら、このネタで、とことん苛めてあげるんだもん。


「全然大丈夫」


そうさ、別に気にしてない。



数週間前に、一人で歩いた道を、潤くんと歩く。

潤くんと並んで外を歩くなんて初めてだ。
翔さんもたいがい背が高いが、潤くんは更に高い。手足も長くてモデルみたい。
確か、相葉くんは、その潤くんより更に背が高いんだよね。
この三人がそろうと、俺と智さんは、完全に見下ろされ、誰が最年長で、誰が末っ子なのか、分からなくなるのだ。

そっと、傍らを見上げる。
黒いシャツに、デニムだけのシンプルな格好なのに、やたらとカッコよくみえてズルいよなあ。

クセっ毛気味のクルクルしてる長い前髪をかきあげて、アッチぃ……って顔をしかめる姿すら絵になる。



「おう、松本じゃん」

学校に着くと、すれ違うジャージ姿の学生に話しかけられ、

「おう……」

と右手をあげる潤くん。

「なに?補習?」

「ちげーわ。バスケ見にきただけ」

「ああ……相葉?」

「そ」

高校生の潤くんの等身大の会話。

なんだか新鮮だった。

いつも、智さんの前では礼儀正しく。
翔さんの前では可愛らしく。
俺の前では素直な潤くんだから。

置かれてる状況が違うだけで、こんなに印象が、かわるんだね。

「じゃな。相葉によろしく」

「へーい……」

若干、ちょいワルなやりとりに、くすっと、笑ってしまった。

「……なに?」

怪訝そうに見下ろしてくる潤くんを見上げて、ふふふと、笑う。
なんでもないよ。
可愛いな、潤くん。

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