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キラキラ

第21章 ひぐらし ~バースト4~


潤くんに連れられて、運動場横の広場の自販機前
にやってきた。
ポケットの硬貨をチャラチャラ触りながら、潤くんが

「なに飲む?」

と、聞いてくれる。

「……オレンジがいい」

体育館内の熱気が、外気温との相乗効果でものすごかったから、喉がカラカラだった。

ジュースを受けとり、「ありがと」と、硬貨を渡そうとしたら、いい、と断られた。

「いいの?ごちそーさま」

笑って、潤くんと日陰になってる階段に並んで座った。
冷たいオレンジジュースが体に染み渡ってとても美味しくて、コクコクと一気に半分くらい飲み干した。


練習中のサッカー部を、ぼんやり眺めながら、さっきの相葉くんたちを思い出す。

潤くんが、じゃあな、と声をかけたら、後片付けをしている相葉くんたちは満面の笑みで手を振ってきた。

隣にいた俺も小さく手を振り返して、身を翻そうとしたら、

「かず!!また、連絡するね!」

と、相葉くんが叫んできた。

……どんな言い訳を用意してくるんだか。





「あちーなぁ…」と、眉を下げて、乳酸菌飲料を飲んでる潤くん。
ビジュアルと飲んでるものがミスマッチで笑っちゃう。

再びジュースに口をつけると、軽快なスマホの着信音。

「……俺か」

ポケットからスマホを取りだし、画面をみた潤くんはちょっと顔をほころばせた。


「……彼氏?」


「!」

ぼそりとつっこんだ俺に、潤くんは固まった。

あははっと笑う。
分かりやすいなあ…。

顔を赤らめた潤くんは、ちろっと俺を睨み、

「もしもし」

と、少し離れた所に歩いて行った。




そろそろお昼だ。
少々お腹も減ってきた。

今日は潤くんと、マクド行こかなあ。

オレンジジュースを全部飲み干して立ち上がろうとしたら……。

ふと、どこからか次々に人が増えてきて急にがやがやしだした。
みんな、笑顔でなんだか円になってる感じ。

中心にいるのは……


相葉くんとあのマネージャーだ。


マネージャーが恥ずかしそうにうつむいてるのを周りの女子が励ましてるあの感じ。
みんなのまえに担ぎ出され、晒されてる相葉くんの困ったような笑顔。

こんなシチュエーション、テレビで見たことある。

……公開告白ってやつじゃん。
しかも、ギャラリーの熱気におされて、成功率がものすごく高いんだろ?

ズキリと、心臓が痛くなった。

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